1995 Fiscal Year Annual Research Report
発育の時系列解析で得られる健康情報とその伝達及び活用
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06301031
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
東郷 正美 神戸大学, 発達科学部, 教授 (70041283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平良 一彦 琉球大学, 教育学部, 教授 (40039540)
島田 彰夫 宮崎大学, 教育学部, 教授 (70006724)
松本 健治 鳥取大学, 教育学部, 教授 (10073694)
米山 京子 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (30079743)
中村 泉 日本女子体育大学, 体育学部, 教授 (60091055)
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Keywords | 発育評価 / 健康情報 / 短間隔測定 / 長期間測定 / 時系列解析 / デコンプ / 測定値のグラフ評価 |
Research Abstract |
我々は発育の進行を、時系列解析で評価してきた。しかし、現場では時系列解析を使わずに、簡単で、しかも必要な情報は十分得られる方法が求められている。 前者は、デコンプによる時系列解析で、定説では否定されて来た波動が自己回帰(AR)過程であることが分かった。これにより、身体発育のメカニズムに接近する手段が与えられた。季節変動は、その地域の気象条件や、肥満の例では室内というミクロの気象によっても、さらに心理的な影響も受けていることが、いじめの例で認められた。体重発育は、各種の環境の影響を示す指標ともなる。これらの研究はごく初期の段階に過ぎない。 後者は、現場で保母、養護教諭や育児中の母親をも含めて、発育に関心のある全ての人々が、毎月計った発育値を、グラフ用紙に記入するだけのことで、波動を示しながらも右上がりのカーブとなれば、発育は正常で、もしも不自然な、大幅な上がり下がりや、伸び悩みが、認められたら、専門家に相談すればよい。不幸にも、この簡単なことが、必ずしも実行されてこなかった。前者と後者の結果は、細部まで一致するとは限らないが、グラフを書くことで、実用上十分な情報が得られることも分かってきた。これにより、発育の測定値から、何時何処ででも役に立つ評価が可能となってきた。 多数の組の双生児の月次観測による研究も進んできて、まもなく時系列解析が可能となる。系統的な乳児の研究や、各地での測定から、地域による季節変動が多彩なものであることも次第に明らかになってきた。沖縄の長寿村での小児の発育の観測も進行している。肥満の裏づけとなるインピーダンス法による体脂肪の測定も継続して行われている。今後は、現場での経験を集め、発育の理解を深めると共に、多くの現場でグラフを利用した発育の評価を実行に移してもらい、小児の心身の健康に貢献出来れば幸いである。
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