1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06301050
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松本 肇 筑波大学, 文芸・言語学系, 助教授 (40128814)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 茂 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (30134430)
河合 康三 京都大学, 文学部, 教授 (40108965)
岡田 充博 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (40126842)
市川 桃子 明海大学, 外国語学部, 助教授 (20212996)
赤井 益久 國學院大學, 文学部, 助教授 (10175763)
|
Keywords | 中唐 / 唐宋変革 / 古文 / 風景 / 奇 / 書画 / 韓愈 / 白居易 |
Research Abstract |
本年度は以下の研究発表を行った。 1 、雨はどのように詠まれてきたか(愛甲弘志):杜牧の「江南春」を手がかりに、雨の用例を時代順に整理すると同時に、雨中の情景描写と水墨画との影響関係について論じた。2、唐代文学と音楽・芸能について-王小盾『唐代酒令芸術』によせて(斎藤茂):音楽文化と文学の問題を、1)詩と歌唱、2)詞の形成、3)楽人、妓女と文学、の3つの観点から考察した。3、韓愈の「雑説」(千里馬)を読む(末岡実):韓愈の「雑説」と李〓の「雑説」を比較し、文体の特徴に触れながら、両者が世に認められない科挙士大夫の悲哀を寓意した作品であることを指摘した。4、終南山の変容-盛唐から中唐へ-(川合康三):盛唐と中唐の終南山の描写方法が全体から部分へと変容するのは、安定した世界観とその崩壊の反映であることを論じた。5、ヨーロッパに於ける中唐詩の受容(市川桃子):19世紀ヨーロッパに於ける中国文学に関する資料を紹介し、当時の感詩理解について考察した。6、柳詩の飛べない鳥(松本肇):中国の詩に現れる「飛べない鳥」の種類、飛べない理由、鳥に託された隠喩の内容、などについて整理しながら、柳宗元の詩に登場する「飛べない鳥」が、飛翔の意志を放棄せず、飛べない現状の改善に努める鳥であることを論じた。7、中国における詩と絵画(浅見洋二):中国における詩と絵画の問題をめぐり、表象=再現の芸術という点において詩と絵画の間に同質性を認める宋代以降の詩=画美学が、中唐に確立したことを、六朝時代の文献の用例を併せて検討しながら論じた。 上記の研究の成果を踏まえ、更にお互いの研究内容に対する理解を深めて統一を図る調整の期間を1年間置いた上で、平成9年度の研究成果公開促進費を申請し研究成果を書物として刊行する予定である。
|
-
[Publications] 赤井 益久: "白詩風景小考-「竹窓」と「小池」を中心として" 國學院雑誌. 97-1. 1-15 (1996)
-
[Publications] 大野 修作: "梁武帝と陶弘景をめぐる書論-往復書簡を中心に-" 京都女子大学宗教・文化研究所紀要. 9. 1-16 (1996)
-
[Publications] 川合 康三: "終南山の変容-盛唐から中唐へ-" 中国文学報. 50. 55-67 (1995)
-
[Publications] 松本 肇: "中唐文学研究(仮題)" 創文社, 500 (1997)