1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06301075
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
八田 達夫 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (70008647)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 陽子 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (90205005)
小口 登良 専修大学, 商学部, 教授 (90132985)
|
Keywords | 年金改革 / シュミレーション / 年金基金 / 高齢化 / 退職行動 / 労働供給 / 年金財政 |
Research Abstract |
1994年度の後半に年金改革が行われた。本年度の主要な成果は、この新しい制度を取り入れたプロトタイプ重複世代モデルを作成し、種々のシュミレーションを行ったことである。 この年金改正では、60才から65才までの人々の年金支給方法に大きな改革が行われた。それに伴う財政収支の影響の分析が研究の主眼であった。また、この改訂に伴い過去には公表されていなかった世代別加入率に関するデータが公表され、さらに新しい人口推計のため、それらのデータを組み込んだモデルを作った。 このモデルでわかったことは、次のとおりであった。 第1に、世代間の純受給率が改正前より大幅に均等化したことである。これは、主としてネットスライド制の採用による。 第2に、年金基金が高齢化のピーク時においても底を突かず、かなりな余裕が発生することがわかった。 第3に,GDPの2.8%を年金のための超過負担を続ければ、一度も年金基金残留の減少を経験することなく、高齢化時代を乗り切れることも判明した。 このモデルでは、まだ労働供給が内生化されていない。これを行うことが来年度の目標である。そのための準備として、木村は女性の退職行動データを収集し、供給関数の分析を行った。本年度の労働供給内生モデルにこれを結びつける予定である。
|