1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06302034
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
薩摩 順吉 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (70093242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 大輔 龍谷大学, 理工学部, 助教授 (50188025)
時弘 哲治 同志社大学, 工学部, 講師 (10163966)
中村 佳正 同志社大学, 工学部, 教授 (50172458)
渡辺 慎介 横浜国立大学, 工学部, 教授 (60017936)
広田 良吾 早稲田大学, 理工学部, 教授 (00066599)
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Keywords | ソリトン / 可積分系 / QR法 / セルオートマトン / 逆散乱法 / 戸田方程式 / ボルテラ系 / システム理論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、工学とくに応用数理の分野でソリトン理論の積極的な応用をはかり、新しい視点を加えることによって、工学の発展に寄与することである。主な研究対象について以下の成果を得た。 1.数値解析の分野:離散ソリトン方程式と行列の固有値問題を解くLR法やQR法との関連について考察を加え、その数理的構造を明らかにした。とくに、離散ソリトン方程式のもつ対称性がLR法との関係から抽出されたことは一つの成果である。また、加速法や外挿公式との関連も調べ、新しい方法の存在可能性を指摘した。具体的に新しい方法を実現していくことが平成7年度の課題である。さらに。非線形方程式の差分化に関して、可積分性の考え方を利用した一つの例を示した。その普遍化をはかることもやはり平成7年度の重要なテーマである。 2.数理工学の分野:線形システム理論・数理計画法におけるKarmarkerの力学系・情報幾何学とソリトン理論の関連性を、とくに戸田方程式の解に依拠して考察し、τ関数の役割の重要性を指摘した。また、離散型パンルヴェ方程式の解が戸田方程式の解と密接に関係していることも明らかにしたが、以上の結果をリンクすることが今後の一つの課題である。 3.情報関連の分野:ソリトンセルオートマトンの組み合わせ論的構造を調べることにより、無限個の保存量の存在を明らかにした。データ処理、コーディングへの応用をはかることが平成7年度の課題である。 4.構造解析の分野:量子スピン系における可積分性の概念を利用して、光励起子のストリング解が存在する可能性を示した。この予想は実験でも確認され、目で見える可積分系として今後の量子工学においてソリトン理論の重要な応用例になることが期待される。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] 筧三郎: "非線形シュレ-ディンガー型方程式の双線形構造" 京都大学数理解析研究所講究録. 889. 101-112 (1994)
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[Publications] 梶原健司: "離散型パンルベ方程式とその周辺" 京都大学数理解析研究所講究録. 889. 124-137 (1994)
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[Publications] 辻本諭: "非線形可積分系の差分化とその現状" 京都大学数理解析研究所講究録. 889. 77-84 (1994)
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[Publications] Y.Nakamura: "On the disoretization of the three-dimensional Volferra system" Phys.Lett.A. 193. 42-46 (1994)
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[Publications] Y.Nakamura: "A tau-function for the finite Toda molecule,and information spaces" Contemp.Math.,Amer.Math.Soc. 179. (1994)
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[Publications] 中村佳正: "アルゴリズム・情報幾何・非線形可積分系" 京都大学数理解析研究所講究録. 889. 1-18 (1994)
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[Publications] H.Ezaki: "Excitonic n-string in linear chains:Electronic structure and optical properties" Phys.Rev.B. 50. 10506-10515 (1994)
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[Publications] T.Tokihiro: "Superradiance of Frenkel excitons with any degree of excitation" Phys.Rev.B. (掲載予定).
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[Publications] T.Tokihiro: "Time response of polaritons in small system by ultra-short pulse excitation" Jpn.J.Appl.Phys.(掲載予定).
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[Publications] H.Ezaki: "Optical absorption of molecular chains with conformational disorder" Jpn.J.Appl.Phys.(掲載予定).
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[Publications] R.Hirota: "Note on "New Coupled Integrable Dispersionless Equations"" J.Phys.Soc.Jpn. 63. 3533- (1994)
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[Publications] R.Hirota: "Discrete 2N-Wave interaction" Mathematics and Computers in Simulation. 37. 371-383 (1994)