1994 Fiscal Year Annual Research Report
木材の破壊理論の確立とそのRBD(信頼性に基づく設計)への応用
Project/Area Number |
06302069
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増田 稔 京都大学, 農学部, 助教授 (40027165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 敬一 東京農工大学, 農学部, 助手 (90178723)
鈴木 直之 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (40106977)
祖父江 信夫 静岡大学, 農学部, 助教授 (50023495)
佐藤 清 三重大学, 教育学部, 教授 (80006444)
吉原 浩 東京大学, 農学部, 助手 (30210751)
太田 正光 東京大学, 農学部, 助教授 (20126006)
三橋 博三 東北大学, 工学部, 教授 (90091751)
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Keywords | 破壊力学 / RBD / 信頼性設計 / 木材 / クライテリオン / 有限要素法 / アコースティックエミッション / 画像相関法 |
Research Abstract |
木材の破壊条件として従来の線形破壊力学に基づく方法とは異なり、有限な小領域における平均応力が破壊のクライテリオンを満たしたときに破壊が始まるとする増田の提案する有限小領域破壊理論の応用例として、ボルト接合における木材の破壊を検討した。ボルトから材端までの距離が短い場合は繊維に直角方向の引張応力で破壊に至るが、長い場合はせん断応力で破壊に至ることが、FEMによる解析とSPF材を用いた実験結果から明らかとなった(増田)。せん断における応力-ひずみ曲線が線形ではなく非線形であることを考慮した解析を行うことが今後に残された課題である。横引張に対する応力-ひずみ曲線および破壊じん性に関しては(三橋)が検討中であるが、せん断の応力-ひずみ曲線については(吉原、太田)がねじり試験により検討し、(増田)は顕微ビデオ及び画像相関法を用いて検討中である。現時点での実験結果では弾塑性というよりは、折線的な非線形である。今後さらに実験を進め確かめる必要がある。 ボルト接合における木材の破壊をいわゆる破壊力学を用いて(祖父江)は解析することを試み、ボルト孔のような切欠きのない問題に対して等価切欠きの長さをいくらにすべきか基礎実験及びFEM解析を行っている。横引張応力とせん断応力が同時に作用する場合のひずみエネルギ開放率のクライテリオンとしては(佐藤清)も(鈴木)もいずれも2乗の和の形が実験式とよく適合するという結果が得られた。AEと破壊じん性の関係は破壊のモードにより異なることを(佐藤敬一)は実験的に明らかにしつつある。また、集成材の破壊予測にRBDの適用を(三橋)は試み、引張側2層のラミナの曲げ応力度がそのラミナのMORに達したとき破壊に至るとする仮定では、実験結果との適合性がよくないことを明らかにした。
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[Publications] 三橋博三: "スギ集成材の性能設計方法の開発に関する研究(1) ラミナのヤング係数により設計された集成材の実大実験とシミュレーション" 日本建築学会東北支部研究報告集. 58. (1995)
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[Publications] Yoshihara,H.and Ohta,M.: "Measurement of the in-plane elastic constants of wood by the uniaxial compression test using a single specimen" 木材学会誌. 41. 218-222 (1995)
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[Publications] Yoshihara,H.and Ohta,M.: "Analysis of the bucking stress of an intermediate wooden column by the tangent modulus theory" 木材学会誌. 41. (1995)
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[Publications] 佐藤清,山本尚登,木谷康司: "木材の破壊じん性および機械的性質に及ぼす熱処理の影響" 三重大学教育学部研究紀要(自然科学). 46. 119-122 (1995)