1994 Fiscal Year Annual Research Report
1993年の異常気象による水稲不作の実態と栽培技術上の問題点の解明
Project/Area Number |
06304012
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
津野 幸人 鳥取大学, 農学部, 教授 (00036287)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
縣 和一 九州大学, 農学部, 教授 (00091364)
今木 正 島根大学, 農学部, 教授 (60032562)
長南 信雄 茨城大学, 農学部, 教授 (90005603)
笹原 健夫 山形大学, 農学部, 教授 (20005606)
岩間 和人 北海道大学, 農学部, 助教授 (70144219)
|
Keywords | 冷害 / 異常気象 / 水稲 / 技術的要因 / 社会的要因 |
Research Abstract |
1993年の異常気象による水稲不作について、北海道から九州の9地域毎にその被害状況、気象条件、作付品種、栽培法、被害軽減対策の実態を調査して詳細な記録を残すとともに、不作の原因や被害を助長した技術的・社会経済的要因について解析した。 結果を要約すると以下のとおりである。 (1)1993年産水稲の作柄が未曾有の不作となった直接の原因は、6月〜10月の低温・寡照であり、とくに穂ばらみ期の7月中旬〜8月中旬の異常低温による北海道・東北から西日本高冷地までの広範囲にわたる障害型冷害による高率の不稔の発生と、登熱期の日照不足による生育遅延による登熱不良が全国的に発生したためであった。 (3)不作の第2の原因は、雨天が多く日照時間が不足した結果、病虫害とくにいもち病が大発生し、東北から九州まで広範囲に大被害をもたらしたこと、さらに第3の原因として、数度にわたって台風が九州・四国・近畿地方を襲い、倒伏、病害の助長などによって減収したことが挙げられた。よって、1993年の水稲の気象災害をかくも甚大にしたのは、これら障害型冷害、遅延型冷害、いもち病害および台風害が複合したためであるといえた。 (4)今回の気象災害を助長したと思われる技術的要因は、(1)基本技術(分割施肥・水管理・病虫害防除・完熟堆肥による土づくり)の省略もしくは不徹底、(2)良食味品種偏重による作期・品種の単一化、(3)良食味品種の耐冷性と耐病性の不足が指摘された。 (5)今後の水稲の生産安定には、これらの弱点の克服と、気象災害発生の予測システムの整備、農業気象観測網の充実の必要性を指摘するとともに、食糧の生産・供給の安定を目的とした全国規模の技術情報センターとしての「食糧安定生産機構」と「食糧安定供給機構」の設立を提言した。
|