1995 Fiscal Year Annual Research Report
刑事司法のDNA鑑定法の評価およびその確立に向けての総合研究
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06304029
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
原田 勝二 筑波大学, 社会医学系, 助教授 (60086618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒崎 久仁彦 千葉大学, 医学部, 講師 (60240701)
鈴木 広一 大阪医科大学, 医学部, 教授 (60171211)
山内 春夫 新潟大学, 医学部, 教授 (30134919)
玉置 嘉広 大分医科大学, 医学部, 教授 (20028377)
勝又 義直 名古屋大学, 医学部, 教授 (30109326)
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Keywords | Human specific DNA / Y-Chromosome specific DNA / Minisatellite DNA / Microsatellite DNA / MVR-PCR / Tandem repeats / Heterozeigosity / DNA Profiling |
Research Abstract |
人獣鑑定、性別鑑定、個人識別に関して、試料からの効率的DNA抽出、有効なDNA多型性領域の選定、目的領域の分析に合致した検査技術、データの適切な処理法、鑑定の倫理的評価につき分担研究を行い、シンポジウムおよび班会議を開催して発表・討議を行った。 1)ヒト特異的DNA領域(HS5)をPCR増幅にて検出し、人獣鑑定を行うことが可能となった。三大人種のいずれの民族も陽性バンドが出現したが、ヒト以外の動物ではPCR増幅バンドは検出されなかった。法医学的試料(唾液、精液、血痕、毛髪、軟部組織、骨、歯牙)につき応用検査した結果ヒト特異的バンドの検出が可能であった。 2)性別鑑定のため、Y染色体特有配列としてSPY(sex determining region Y)およびDYS19,DYZ3,DYZ1につき実務への応用が可能となった。更にY染色体のSTR反復差から個人識別への応用も可能となった。X染色体特有配列として、DXZ1,PGK1,DXZ4,DXS24,HRRTにつき検討を行った結果、いずれも応用可能なことが判明した。 3)法医学的個人識別にはmicrosatellite DNA領域が最も多く使用されている。これらのうち有効な座を組み合わせて、同一ゲルにて同時検出する方法を考察した結果、ACTBP2,AluVpAの組み合わせ、D8S320,FGA,AluVpAの組み合わせのほか、D16S537,D8S320,FGA,D11S554,TH01の組み合わせが可能であった。同時に日本人集団(200-300名)に対する上記座位の遺伝子頻度に関するデータが得られた。 このほかMVR-PCR(minisatellite variant repeat polymerase chain reaction)法につき検討した結果、唾液斑、毛根、血痕から1ngのDNA抽出が可能であれば充分個人識別に有効であることが判明した。 4)高分子DNAの有効な抽出方法として、磁気を利用した抽出法(Biomag法)が有効であり、また目的領域のDNA分析にはキャピラリー式DNA analyserにより塩基配列の解析を行うことが重要であり、更に電気泳動法を用いないマススペクトロメーター分析に基づくSequencingの検討を行う必要も出てきた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] K. Takami, et al.: "Application of minisatellite variant repeat (MVR) mapping for maternal identification from remains of an infant and placenta." Forensic Sci.40(4). 695-700 (1995)
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[Publications] A. Tsuchikane, et al.: "Allelic Frequency Distribution of the COL2A1 Locus in the Japanese Population." Res. Pract. Forens. Med.38. 17-19 (1995)
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[Publications] Tamaki, Y. et al.: "Microsatellite typing in a paternity case against a deceased man whose two brothers were available for testing." Jpn J. Legal med.50(2)(in Press). (1996)
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[Publications] 鈴木 広一 他: "凝固第XIII因子αサブユニット遺伝子に見いだされた新たな多型について" DNA多型. 3. 156-161 (1995)
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[Publications] K.Kurosaki,et al.: "Sequence variation in the flanking region of a trimeric short tandem repeat at the PLA2 locus:its considerable effect on estimating alleles." Jpn J. Legal med.50 (in Press). (1996)
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[Publications] 原田 勝二 他: "マイクロサテライトDNA多型検出法の改良" DNA多型. 3. 88-94 (1995)
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[Publications] 原田勝二,福島弘文 他: "現代の法医学(永野耐造,若杉長英 編)" 金原出版社, 463 (1995)
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[Publications] S.Harada: "Prehistoric Mongoroid Dispersals (Edited by T. Akasawa & E. Szathmary)" Oxford Science Publications (Oxford), 389 (1996)