1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06351003
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Research Institution | Tohoku University of Art and Design |
Principal Investigator |
松野 豊 東北芸術工科大学, 教養部, 教授 (70014678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 正晴 弘前学院大学, 文学部, 教授 (60178663)
八木 文雄 高知医科大学, 医学部, 教授 (60124814)
森 秀雄 山梨大学, 工学部, 教授 (40020383)
望月 登志子 日本女子大学, 人間社会学部, 助教授 (70060671)
鳥居 修晃 聖心女子大学, 文学部, 教授 (50015012)
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Keywords | 視覚認知 / 形成実験的アプローチ / 工学的アプローチ / 先天盲開眼者 / 知的障害者 / 脳損傷者 |
Research Abstract |
視覚認知の形成過程及びその機序を解明していくうえでは、"見えない"状況にとどまる人たちを対象とする形成実験的アプローチ、すなわち、各事例についてその障害状況の様相を明らかにし、次いで、障害状況に対して種々の実験的操作を加えて視覚認知機能の形成を図り、そこで成功した操作群と失敗した操作群を総合的に分析するアプローチが必要であろう。我々は、このような基本的方針に基づき、我々自身が積み重ねてきた知見を機能形成の観点から整理し、同時に工学的ロボット(盲導犬ロボット)の画像処理等に応用する可能性について探索すべく議論を重ねてきた。後者は、実用的ロボットの開発への貢献を目的とするばかりでなく、視覚認知機能のシミュレーションのフィードバックを得ることにより、その形成機序について多くの示唆を得られるであろうとの予測に基づいてのことであった。前者に関しては、主として脳損傷事例、先天盲開眼者、知覚障害児の視覚認知機能の障害及びその回復過程に関する知見の整理を行ってきた。 今年度の議論の中で、今後の研究方向・課題・方法論について次のことを確認しえた。すなわち、視覚認知機能の形成過程については、少なくとも、1)視空間の安定性、2)視野の役割、3)行動を誘導・統制する視覚、という3つの観点からの検討が必要であること、また、これらは何よりもまず日常場面の活動の中で検討すべきであること、さらに、「"見えない"状況にとどまる人たち」という対象範囲を拡大し、弱視者及び人為的な視覚機能制限事態にある人など(所定制限頑強着用者など)を含めて、広く知見を集積すべきであること、の大きく3点である。なお、最初に挙げた3つの観点は、視覚認知機能の工学的シミュレーションにおいてもどのように処理するかが苦慮され、処理方策が模索されているものである。
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