1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06401006
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (A)
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Research Institution | Dohto University |
Principal Investigator |
松下 守邦 道都大学, 社会福祉学部, 助教授 (00244880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 〓 日本大学, 文理学部, 教授 (20059075)
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Keywords | 中小企業 / 機械工業 / 人材育成 |
Research Abstract |
企業における人材育成は、業種、規模、当該企業の経営方針による変数などでかわりうるものであろう。中小企業における人間関係・労務管理については、これまで大企業に比較して、前近代的、劣位なものとしてとらえられることが多くみられたが、本研究は、中小企業の人材育成に関して、業種を機械工業にしぼってその検証をおこなうものである。 独創的技術力をもって市場へ積極的に参入する中小企業群の人材育成を、「中小企業の学校」ともよばれる長野県坂城町を事例に調査をすすめてみると、坂城町の工業は、東京からの疎開工場の転入期、町内企業からのスピン・オフによる創業期、MC、NC機の導入によるME化の展開期の3期に分類することができる。工業統計によると、事業所数は372と近年は微増にとどまり、また従業員規模は10人未満が全体の8割をしめる(平成4年工業統計調査)、規模的には零細企業の町といってよいのであるが、他の工業集積地に比較して、地域内の受注関係は薄く、他地域からの製品受注が多いのが特徴である。独立性・企業家指向の高い労働力の確保をおこなっているといわれる当地域においても、工業集積地としての事業開発力、人材確保の課題があることが第一次ヒアリングにおいて確認された。坂城町の若手経営者からなる「坂城町ニューリーダー研究会」の異業種交流にたいする動向を把握していくと、それら零細企業のなかでも企業規模格差が存在し、事業開発への取り組み、後継者養成にたいする意欲の有無に差違がうかがえた。今後は、引き続き坂城町の企業調査をおこない、また同じく機械工業の集積がみられる東京大田区の中小機械工業における人材育成の特質を探り、長野県坂城町と東京都大田区の工業集積地域の人材確保、人材育成上の課題について比較考察を進めてく。
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