1995 Fiscal Year Annual Research Report
気球・超伝導スペクトロメーターによる宇宙起源反粒子の精密探査
Project/Area Number |
06402008
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Research Institution | National Laboratory for High Energy Physics |
Principal Investigator |
山本 明 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助教授 (30113418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
槙田 康博 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助手 (30199658)
野崎 光昭 神戸大学, 理学部, 助教授 (10156193)
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Keywords | 宇宙 / 宇宙線 / 宇宙起源 / 反物質 / 反粒子 / 粒子線 / 対称性の破れ |
Research Abstract |
本年度は研究計画の2年度として、昨年の成果を踏まえ、スペクトロメーターに大幅な改良を加え、さらに精度の高い宇宙起源反粒子の探索を行った。具体的には粒子識別を行う粒子飛行時間測定器(TOF)の時間分解能の大幅な向上(300ps→100ps)によって粒子識別可能運動エネルギー範囲の500MeV→1000MeVへのアップグレードが可能となった。 平成7年度のカナダでの気球飛翔実験は、この改善を踏まえて実施された。カナダ・マニトバ州北部のリンレークに、10名の派遣を行い、約1ケ月の実験準備を経て、約24時間にわたる気球飛翔、科学観測実験に成功した。データ解析の結果、過去2年間の8イベントを大幅に上回る40を越える反陽子イベントを検出し、反陽子/陽子比として10^<-5>の有限値を得た。この観測結果は、宇宙線観測における、はじめての明確な粒子同定を行った低エネルギー観測結果として、学会より高い評価を受けた。また平成5年度のデータ解析のまとめは平成7年にPhysical Review Letterにも掲載され、評価の高さが明確なものとなった。宇宙起源反粒子の候補となり得る反ヘリウム探索では、従来の観測感度を一ケタ以上、上回る反ヘリウム/ヘリウム 2×10^<-6>の上限値を得ている。 以上の科学観測から、以下の実験結果が得られている。 1、宇宙線反陽子のスペクトルは、いわゆるリ-キーボックス モデル(宇宙線が銀河間の飛行中の衝突によって生成される二次粒子としての反陽子)によって予想されるスペクトルにほぼ一致するが、低エネルギー領域に於いて、若干のずれが観測され、超対称性粒子の対消滅や、初期ブラックホールの蒸発による低エネルギー反陽子の可能性が残されている。 2、宇宙起源反粒子候補となる反ヘリウムの探索では、〜10MPcレベルの宇宙距離の範囲内には、宇宙起源反粒子が存在する兆候は観測されなかった。さらに感度の高い観測は長期間のフライトによって可能となるが、今後の課題となる。
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[Publications] A.Yamamoto (Editor): "Proceedings of the 5th Workshop on Balloon-borne Experiment with a Superconducting Magnet Spectrometer" KEK Proceedings. 94-11. 1-153 (1995)
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[Publications] K.Yoshimura et al. (BESS Collaboration): "Observation of Cosmic-ray Antiprotons at Energies below 500 MeV" Physical Review Letters. 75-21. 3792-3795 (1995)
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[Publications] K.Anraku et al. (BESS collaboration): "Status & Result from BESS" Adv.Space Res.17-9. 101-110 (1996)