1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06402044
|
Research Institution | TOYOHASHI UNIVERSITY OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
栗林 栄一 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (10158884)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蒋 建群 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (20283484)
河邑 眞 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (30115555)
|
Keywords | 中央構造線 / 三波川変成帯(外帯) / 領家変成帯(内帯) / 地震計 / 同期観測 / 深溝断層 / 古生層 / 断層モデル |
Research Abstract |
今年度は、新たに三河地域の近くで発生した二つの地震(愛知県東部、遠州灘)の観測記録のデータ解析により、中央構造線の存在は同地域の地震動特性に大きな影響を及ぼすことが再確認された。また、理論地震動の解析も試み、三河地域表層地盤の増幅特性と減衰特性を検討し、中央構造線との関係を検討した。 地震観測は本学が構築したシステム(TASSEM)および防災科学技術研究所の強震ネット(K-NET)によって行われている。観測データの一部を、表層地盤の影響を取り除くため、一次元地盤解析によって、工学基盤面まで推定して用いた。また、幸いなのは愛知県東部で発生した地震が内帯側で発生した地震と推定できるので、外帯側の遠州灘豊橋沖で発生した地震と共に、内帯と外帯地震によるそれぞれの波動伝播現象を捉えることができた。各観測点記録の周波数スペクトル特性を分析すると共に、観測点間の周波数領域における関連度を把握するために、コヒーレンス関数の算定を行った。これらのデータ解析により、以下のような結果が得られた。 1.今回用いた記録では中央構造線付近の記録の非定常性が顕著であることと、内帯と外帯では伝播の卓越方向に大きなずれがあることから 地震波は中央構造線において反射・屈折し伝播している可能性がうかがえる。 2.内帯側で発生した地震の場合、内帯側と外帯側の地震動の周波数特性として内帯の山側観測点では高周波数成分が卓越し、外帯側と海側の内帯観測点では逆に低周波数成分が卓越するという傾向が見られた。また、外帯側で発生した地震でも山側観測点で高周波数成分の卓越がみられることから、同じ内帯側でも海側と山側では周波数特性が大きく異なることがわかった。これにより、周波数特性だけをみると、構造線と地形地質の影響が混在していて、構造線による影響を分離する必要が生じた。 3.コヒーレンス関数を算出し、各観測点間の相関関係を求めた結果、震源位置によって相関が大きく異なることから、地震波の伝播経路に、豊橋平野が大きく影響を及ぼすことが考えられるが、構造線の影響について、地震の震源特性に左右されることが判った。 4.理論地震動の解析により、地盤による増幅特性への影響が顕著であるが、外帯、内帯でのQ値の差がさほど大きくなかったため、今後の観側データの蓄積から、より高精度の解析を行う必要がある。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 蒋,建群: "東三河地域の地震動に対する中央構造線の影響" 第24回地震工学研究発表会講演論文集. 97-100 (1997)
-
[Publications] 川原 幸之助: "三河地域における中央構造線と地震動に関する研究(第2報)" 第52回土木学会講演概要集. I-B. 572-573 (1997)
-
[Publications] 川原 幸之助: "三河地域の中央構造線の特性と地震動に関する研究(第3報)" 平成9年度土木学会中部支部発表会. (1998)
-
[Publications] 桶谷 秀人: "三河地域における地震動の地盤増幅特性" 平成9年度土木学会中部支部発表会. (1998)