1994 Fiscal Year Annual Research Report
マグマの上昇にともなうガスの分離・発泡過程の実証的研究
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06403003
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
日下部 実 岡山大学, 地球内部研究センター, 教授 (20015770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 茂 岡山大学, 地球内部研究センター, 助手 (30260665)
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Keywords | ガス圧式高温高圧発生装置 / 富士火山1707年噴火 / ガラス包有物 / H20濃度 / 水素同位体比 / 2価鉄濃度 |
Research Abstract |
(1)本科研費補助金で購入を予定していた主要備品「超小型急速冷却HIP」(ガス圧式高温高圧発生装置)が納入された。本装置は今年度から高圧ガス取締法に規定される第1種装置とみなされることになった結果として、装置の使用に先立って、通産大臣の特別認可および他の安全性に関わる諸手続きを完了する必要が生じた。平成7年2月末にすべての手続きが完了し、やっとテストを開始したところである。 (2)予備実験として、化学組成が既知の玄武岩および流紋岩試料に異なった量の水を添加し、これらを既設のピストンシリンダーおよび東工大に設置されている類似の高温高圧装置を利用してガラス化した。これらのガラス試料の正確な含水量を真空加熱法により定量し、顕微フーリエ変換赤外吸収分光法用の検量線を作成した。これにより火山ガラスに溶存する水のモル吸光係数がガラス組成に相当依存することが明らかになった。 (3)単一のマグマバッチの上昇・噴火によってもたらされた天然火山岩試料として富士火山1707年噴火の玄武岩質噴出物のマトリックスガラスと斑晶中のガラス包有物に溶存する水の濃度を顕微フーリエ変換赤外吸収分光光度計などを用いて定量した。また噴出物中のH20濃度、水素同位体比および2価鉄濃度の変化の変化を合わせて定量し、玄武岩マグマの噴出時の水の挙動を検討した。玄武岩マグマがスコリアとして地表に噴出する際には水のかなりの部分が水素ガスとして脱ガスすることが分かった。
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[Publications] M.Kusakabe: "Magma degassing in view of hydrogen and carbon isotopic ratios,and its consequences" Advances in Mass Spectrometry. 13(in press). (1995)
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[Publications] 日下部.実: "マグマの脱ガスとニオス湖におけるCO2の蓄積" 地球化学研究協会創立20周年記念誌. (印刷中). (1995)