1994 Fiscal Year Annual Research Report
3配位ホウ素アニオンの創製と新規ホウ素化合物の合成への利用
Project/Area Number |
06403014
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (A)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
今本 恒雄 千葉大学, 理学部, 教授 (10134347)
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Keywords | ホウ素ジアニオン / ホスフィンボラン / 有機ホウ素化合物 / 求核反応 / カルボアニオン / 電子環状反応 / 親電子試剤 |
Research Abstract |
ホウ素原子上に-2の形式電荷を有するホウ素ジアニオンはカルボアニオンと等電子的であり,その構造と反応性に興味がもたれる。特に,カルボアニオンの化学が大きな学問分野を形成していることから,炭素よりも原子番号が1小さいホウ素についてもそのアニオンの化学が一つの研究分野を形成するものと期待される。本研究の目的は未だその存在さえも明確ないホウ素ジアニオンを創製するとともに,その構造と反応性の関係を明らかにすることである。 この目的のためにホスフィンボランを用いて研究を進めた。まず最初にトリシクロヘキシル-モノヨードボランをリチウム4,4′-ジ-t-ブチルビフェニリド(LDBB)で還元し各種親電子試剤との反応を試みた。その結果,ホウ素原子上で親電子試剤が反応したと考えられる生成物が良好な収率で得られた。すなわち,重水との反応ではホウ素原子上に重水素の導入が認められた。また,ヨウ化メチルやメチルトリフラートとの反応では,ホウ素-炭素結合形成反応が起こることが明らかとなった。同様にクロロトリメチルシラン,ジフェニルスルフィド,ジフェニルセレニドと反応して,置換生成物を良好な収率で与えた。さらにアルデヒド,エステル,二酸化炭素,エポキシドとも反応することがわかった。これらの結果は,3配位ホウ素アニオンが生成したことと,この化学種がカルボアニオンと類似の反応性を有していることを示すものである。 次にトリ-t-ブチルホスフィン-モノヨードボランとLDBBを反応させた結果,炭素-リン結合が切断され,リン原子上で親電子試剤が反応した生成物が得られた。この実験結果は,ホウ素ジアニオンの生成とその電子環状反応を考えると合理的に説明できる。 これらの実験事実を踏まえて,ホウ素ジアニオンを単離およびスペクトルによる確認を試みたが,未だ成功していない。現在安定なホウ素ジアニオンを発生させるべく,その前駆体となりうるリン-ホウ素-硫黄結合連鎖をもつ新規複素環化合物を合成中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 今本恒雄: "Reactions of Phasphine-Monoiodoboranes with 4,4'-Di-t-butyl-biphenylide and Electrophiles" Journal of Organic Chemistry. 59. 6753-6759 (1994)
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[Publications] 今本恒雄: "Samarium(II) Iodide Promoted Reductive Ring Opening Reaction of Cyclopropane-1,1-dicarboxylic Esters" Tetrahedron Letters. 35. 7805-7808 (1994)
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[Publications] 今本恒雄: "Synthesis and Properties of Cptically Active Phasphine-Boranes Possessing l-Menthyloxy Group" Heteroatom Chemistry. (印刷中).
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[Publications] 今本恒雄: "Cerium(III) Chloride-Promoted Unusual Reaction of Alkenyl Grignard Reagents or Alkenyllithiums with L3-Diphenyl-2-propanone" Journal of Applied organometallic Chemistry. (印刷中).
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[Publications] 今本恒雄: "ランタニド錯体の反応特性" 化学増刊. (印刷中).
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[Publications] 今本恒雄: "Lanthamdes in Organic Chemistry" Academic press, 154 (1994)