1995 Fiscal Year Annual Research Report
新しい食品衛生学のモデルとしての必須脂肪酸と腎不全進展に関する予防医学的研究
Project/Area Number |
06404027
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
和田 攻 東京大学, 医学部(医), 教授 (60009933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳沢 裕之 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (10200536)
山崎 信行 東京大学, 医学部(医), 教務職員 (40143424)
長橋 捷 東京大学, 医学部(医), 助手 (90009994)
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Keywords | 腎臓 / 必須脂肪酸欠乏 / エイコサノイド / サイクロオキシゲナーゼ |
Research Abstract |
食生活の欧米化に伴い高カロリー高脂肪食を摂取する機会が増加している。食品中脂質(特に動物性脂肪)は、腎ヘモダイナミックスを変更させ、それにより、免疫学的あるいは、非免疫学的因子によって引き起こされる腎障害の進展を助長する栄養素として動物実験および臨床研究により確立されつつある。腎ヘモダイナミックスの変更は、腎内内分泌環境の変化が一要因と考えられ、活性の亢進したレニン-アンジオテンシンシステム・産生の増加した血管収縮性トロンボキサン(Tx)などが関係している。必須脂肪酸(リノール酸・リノレン酸・アラキドン酸)欠乏食は、慢性腎炎、ループス腎炎などのような免疫学的因子によって誘発される慢性腎障害の進展を予防することが知られている。その生化学機構としては、膜リン脂質中のエイコサノイドの前駆物質であるアラキドン酸含量を減少させ、血管収縮性Txの産生を抑制することにあると考えられている。従来、必須脂肪酸欠乏食による予防効果は、慢性腎不全で検討されているが、急性腎不全では、その効果は、ほとんど評価されていない。それ故にこの研究では、必須脂肪酸欠乏食・標準食を摂取させたラットより、急性閉塞性腎症(BUO)・シャム手術(SOC)モデルを作製して、糸球体濾過率(GFR)・腎血しょう流量(RPF)から必須脂肪酸欠乏食による腎機能温存効果を評価した。また、腎糸球体での血管収縮性TxB_2の産生量を決定するとともに、シクロオキシゲナーゼ(COX)活性・Tx合成酵素活性を測定してその生化学的機構を明らかにした。標準食SOCと必須脂酸欠乏食SOCの間にはGFR・RPFに変化は認められなかった。標準食BUOでは、そのSOCに比し、GFR・RPFの著名な低下が認められたが、必須脂肪酸欠乏食BUOでは、GFR・RPFの低下は軽減していた。糸球体でのTxB_2産生は、COX活性・Tx合成酵素活性とともに標準食BUOで有意に亢進していたが必須脂肪酸欠乏食BUOでは、その亢進は軽度であった。以上の結果より、必須脂肪酸欠乏食は、COX活性・Tx合成酵素活性を抑制することによりTxB_2の産生を阻害する結果、腎ヘモダイナミックスの悪化を軽減することが示唆される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 柳沢裕之: "Eicosanoid production and levels of newly characteriged eicosainoid-forminy enyymes in different segments of rat nephrons." Nephrology. 1. 31-38 (1995)
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[Publications] 柳沢裕之: "Mechaniem of the decreased eicosanoid groduction in vitro in response to angiotensin II in glomenli of rats bilateral ureteral obetmction." Nephrology. 1. 191-197 (1995)
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[Publications] 和田攻: "最新内科学大系6肥満症、臨床栄養" 中山書店, 11 (1995)