1996 Fiscal Year Annual Research Report
日本人のインスリン非依存性糖尿病発症遺伝子に関する研究
Project/Area Number |
06404036
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Research Institution | Chiba University School of Medicine |
Principal Investigator |
清野 進 千葉大学, 医学部, 教授 (80236067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五ノ井 透 千葉大学, 真核微生物研究センター, 助手 (30134365)
稲垣 暢也 千葉大学, 医学部, 助教授 (30241954)
牧野 英一 愛媛大学, 医学部, 教授 (50009578)
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Keywords | 糖尿病 / インスリン / K^+チャネル / 遺伝子 / スルホニール尿素剤 |
Research Abstract |
日本人インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)では、グルコースに対するインスリン分泌障害が認められる者が圧倒的に多いことより、膵β細胞で発現し、インスリン分泌調節の鍵となる因子の遺伝子はNIDDM発症の有力な候補遺伝子となり得る。平成7年度ではグルコースによるインスリン分泌の鍵となるATP感受性K^+チャネルは経口糖尿病薬であるスルホニール尿素(SU)剤の受容体(SUR1)と内向き整流性K^+チャネルBIR(Kir6.2)の複合体から構成されることを証明した。本年度ではSUR1のイソフォームSUR2遺伝子を単離した。SUR2とKir6.2で構成されるATP感受性KチャネルはSUR1とKir6.2で構成されるATP感受性Kチャネルに比し、ATPやSU剤に対し感受性が低いことが明らかにされた。膵β細胞のATP感受性Kチャネルを構成するSUR1とKir6.2遺伝子異常はインスリン分泌障害をきたし、糖尿病や低血糖症を招来する可能性がある。そこで、正常者ならびにNIDDM患者におけるKir6.2遺伝子の変異についいて検討を加えた。Kir6.2遺伝子には2種類の遺伝子多型性が認められた。しかし、2種類のKir6.2の多型性の頻度は正常群と糖尿病群では有意の差がなく、しかも2種類のKir6.2とSUR1により構成されるK_<ATP>チャネル機能にも差が認められないことより、日本人に検出されたKir6.2遺伝子の多型性が糖尿病の発症に寄与している可能性は少ないものと考えられる。一方、SUR1遺伝子異常と家族性低血糖症との関係が知られている。我々は家族性低血糖症の1症例に認められた異常SUR1遺伝子の類似した遺伝子を分子生物学的手法により作成した。この異常SUR1とKir6.2と共発現させたところ、全くチャネル機能は認められなかった。従って、SUR1遺伝子は家族性低血糖症の原因遺伝子であることが証明された。しかし、SUR1遺伝子異常と糖尿病の関係については現在なお不明である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Inoue,H.et al.: "Sequence varicants in the pancreatic islet β-cell inwardly rectifying K^+ channel Kir6.2 (Bir) gene : identification and lack of role in caucasian patients with NIDDM." Diabetes. 46. 502-507 (1997)
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[Publications] Dunne,M.J.et al.: "Familial persistent hyperinsulinemic hypoglycaemia of infancy,and mutations in the sulfonylurea receptor." New Engl.J.Med.336. 703-706 (1997)
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[Publications] Inagaki,N.et al.: "A family of sulfonylurea receptors determines the pharmacological properties of ATP-sensitive K^+ channels." Neuron. 16. 1011-1017 (1996)
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[Publications] Iwasaki,N.et al.: "Identification of microsatellite markers near the human genens encoding the β-cell ATP-sensitive K^+ channel and linkage studies with NIDDM in Japanese." Diabetes. 45. 267-269 (1996)
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[Publications] Seino,S.et al.: "Molecular biology of the β-cell ATP-sensitive K^+ channel." Diabetes Rev.4. 177-190 (1996)
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[Publications] Kuromi,H.et al.: "A monitor of secretion from single pancreatic β-cells." Diabetes. 44. 1213-1217 (1996)
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[Publications] 三木隆司他: "臨床科学" 6 (1996)
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[Publications] 難破範行他: "ホルモンと臨床" 7 (1996)