1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06404044
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Research Institution | Tokyo Women's Medical College |
Principal Investigator |
太田 和夫 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40090659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 祥嗣 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (30277123)
星野 智昭 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40246541)
田邉 一成 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80188359)
東間 紘 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90075549)
河合 達郎 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (40186044)
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Keywords | 免疫寛容 / カイメリズム / 腎臓移植 |
Research Abstract |
臓器移植において安全に免疫寛容を誘導できるプロトコールを開発するため、サルの腎移植モデルを用いて研究した.基本的なプロトコールはSachsがマウスで成功したプロトコール(Sharabi Y:J Exp Med 169:493,1989)に基づくもので、理論的にはドナー骨髄のengraftmentに必要最低限の全身照射(3Gy)および胸線照射(7Gy)と抗リンパ球抗体の投与によりmixed chimerismを誘導し、おもに胸線におけるclonal deletionにより免疫寛容を導入するというものである. 【方法】MHC full mismatch間のカニクイザルを用いて同種腎移植をおこなった.今回われわれが研究したプロトコールは、全身照射(2.3Gy、術前6日)+抗胸線グロブリン(ATG)[Gropu 1]、全身照射+ATG+胸線照射(7Gy、術前6日)[Group 2]、全身照射+ATG+胸線照射(7Gy、術前1日)[Group 3]のそれぞれの前処理を施し、手術日に腎移植とドナー骨髄移植を行うものである.これにさらにCyclosporine(CsA)を45日間投与したのち中止した.また、各Groupにおいて脾摘の必要性も併せて検討した. 【結果】すべてのGroupにおいて術後さまざまな程度のmultilineage chimerismが誘導された.しかしGroup 1においては、術後60日前後(CsA中止直後)に、Group 2でも多少生着期間は延長したものの移植後100日前後で移植腎は拒絶された.移植腎の免疫寛容はGroup 3のサルのみに獲得され160日経過した現在も免疫抑制することなく正常な腎機能で生着している.また、脾摘を施行しなくてもchimerismと免疫寛容は誘導され、このプロトコールにおいて脾摘は必要がないと思われた. 【考察および結論】(1)Chimerismの誘導には2.3Gyの全身照射で十分であり、胸線照射は関係していない.(2)免疫寛容の誘導のためには、chimerismの誘導が必要条件であるが十分条件ではない.(3)このフロトコールによる免疫寛容の誘導には、胸線照射が必要であり、かつそのタイミングも重要と考えられた.(4)GVHDの合併は1例においても認められず、このプロトコールの安全性が確認された.
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[Publications] Kawai T, Cosimi AB. Colvin RB et al.: "Mixed Allogeneic Chimerism And, Renal Allograst Tolerance in Cynomolgus Monkeys" Transplantation. 59. 256-264 (1995)
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[Publications] T. Kawai, T. Hoshino: "Graft Versus Host Tolerance in, Alogeneic Mixed Chimerism" Transplant Proc. (in press). (1996)
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[Publications] 河合 達郎、 星野 智昭、 藤岡 繁、: "サル腎移植における低侵襲性前処置によるMixed Chimerismと免疫寛容の誘導" 臨床免疫学会雑誌. 18. 670-674 (1995)
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[Publications] 河合 達郎、渕之上 昌平、寺岡 慧、田中 紘一、太田和夫: "Chimerismと免疫学的寛容-臨床応用にむけて" 外科. 57. 1148-1153 (1995)
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[Publications] 河合 達郎、太田 和夫: "腎移植における免疫寛容の誘導" Excerpta Medica. 54. 2-4 (1994)
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[Publications] 河合 達郎: "移植医療の新手法-臓器と一緒に骨髄を移植し免疫寛容を人為的に誘導" 日経サイエンス. 12. 80 (1994)
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[Publications] 河合 達郎: "Annual Review 腎臓1996" 中外医学社, (1996)