1996 Fiscal Year Annual Research Report
同種複合組織移植における免疫的寛容の導入・維持に関する実験的研究
Project/Area Number |
06404054
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
生田 義和 広島大学, 医学部, 教授 (60034005)
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Keywords | 同種移植 / 移植免疫 / 組織保存 |
Research Abstract |
同種複合組織移植の臨床応用を目指して,免疫抑制剤(FK-506)を用いたラット同種四肢移植をモデルとした一連の実験を行い,現実までに以下の結果を得ている。1.FK-506は低濃度でサイクロスポリン-Aと同等の生着効果をあげた。2.FK-506は14日間の短期投与で33%のラットに長期生着が得られ、長期生着群の免疫応答能はドナー抗原に特異的に低反応性を獲得していること。3.長期生着群ではその神経再生と移植肢の成長は同系群と同等に起こり得ること。4.長期生着群では移植肢の脛骨は同系群と同様な成長をきたし,それらの維持にはレシピエントの免疫学的寛容の導入・維持が必要であること。5.免疫応答能の評価より,同種複合組織移植の長期生着の機序として,レシピエントのドナー抗原に対するリンパ球クローンの不応答性(Clonal Anergy),とクローンの消失(Clonal Deletion)の両者が関与していること。6.フリーラジカルの発生が再接着後の機能障害に深く関与していること。7.筋ジストロフィーマウスに対して正常マウスの遊離筋肉移植を行い,移植した筋肉は正常に機能し組織移植の臨床応用への可能性を示唆した。本年度は同種複合組織移植における移植片の至適保存方法を検討するために,幼若ラット切断肢再接着モデルを作製し,移植肢の保存方法の違いによって骨長軸成長に差があるか否かを調査し,温阻血6時間以上では骨端線の部分閉鎖が出現し,成長障害が認められたが冷阻血群では9時間の阻血でも成長障害を来さなかったとの結果を得ている。
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