泌尿器科領域におけるHepatocyte Growth Factorの研究

1995 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 06404058
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 奥山 明彦 大阪大学, 医学部, 教授 (20093388)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 松宮 清美 大阪大学, 医学部, 助手 (90243237) ; 高原 史郎 大阪大学, 医学部, 講師 (70179547)
• Keywords: HGF / 腎移植 / 拒絶反応 / FK506 / 腎毒性 / 前立腺癌

Research Abstract

泌尿生殖器系の細胞に対するHGFの作用を免疫組織学的、分子生物学的手法を用いて検討を加えた。すなわち、腎移植後の血中モニタリング、腎障害性薬剤の腎毒性軽減作用、さらには悪性腫瘍細胞に対する作用の解析を施行した。
1)ヒト正常腎組織中のHGF産生部位の検討
現在まで判明していなかったヒト正常腎組織中のHGF産生部位を同定するために、手術時に得られた正常腎組織を採取、凍結保存した。これを抗HGF抗体を用いて免疫組織化学染色し、腎髄質の間質細胞であることを明らかにした。
2)生体腎移植術後急性拒絶反応時のHGF血中モニタリング
当科で実施、経過観察中の生体腎移植症例の血清を術後経時的に採取、凍結保存した。血清中のHGFをEliza法で経時的に測定し、臨床経過と比較検討した。この結果、血清HGFは急性拒絶反応発症時に早期に上昇を認め、腎機能の改善と共に速やかに正常化した。従って、急性拒絶反応の早期診断とその経過観察に有用である可能性が示唆された。
SHRratにおけるTacrolimus(FK506)腎毒性軽減作用の検討
片側腎摘除後のSHRratにTacrolimusを投与し、腎毒性を出現させる動物モデルを作成した。この系にrecombinant human HGFを腎動脈内に断続的に投与し、腎機能ほかに与える影響を検討した。この結果、HGF投与群ではTacrolimusの腎毒性を抑制し、良好な腎機能を維持することが可能であった。
4)培養ヒト前立腺癌細胞に対するHGFの効果
:培養ヒト前立腺癌細胞株PC-3、LNCaP、DU-145にHGFを添加し、その作用を検討した。この結果、PC-3、LNCaPにおいては変化が認められなかったが、DU-145ではscattering effectを認めた。このことはMatrigel invasion assayでも細胞運動能の亢進に伴うと思われる遊走細胞の濃度異存的な増加を確認した。

Research Products

• [Publications] Takada S.,Okuyama A.,et al.,: "Serum HGF levels in acute renal rejection after living-related renal transplantation." Transplantation internationalis.(in press).
• [Publications] Takada S.,Okuyama A.,et al.,: "HGF prevents the Tacrolimus (FK506) induced nephrotoxicity in SHR rats." Transplantation Proceeding.(in press).
• [Publications] 高田 晋吾、奥山 明彦 他: "生体腎移植後、急性拒絶反応時における血中HGF(Hepatocyte Growth Facter)濃度の検討" 今日の移植. (in press).