1995 Fiscal Year Annual Research Report
歯質接着性修復材料の象牙質接着界面の構造解明に関する研究
Project/Area Number |
06404068
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
猪越 重久 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (60143583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 昌幸 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (30203847)
佐野 英彦 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (90205998)
山田 敏元 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (40134712)
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Keywords | 接着性レジン / 象牙質 / 界面 |
Research Abstract |
歯科用修復材料の歯質に対する接着機構を解明するために、接合界面の形態的な観察や組成分析が行われてきているが、従来型のSEMを使用する限り、乾燥・電子ビーム・イオンビーム・凍結によるアーチファクトを常に勘案して所見をとらなければならず、本来の接合界面を観察していることにはならない。最近開発された、環境制御型電子顕微鏡は湿潤した試料でも乾燥することなくそのまま無蒸着で観察でき、試料にたいするダメ-ジが非常に少ない観察装置として注目されている。本研究では、本科学研究費で購入した環境制御型電子顕微鏡を使用して、歯質接着性レジンにとどまらず、歯質に対して接着性を有する修復材料材料について、それらと象牙質接合界面の構造解明を目標として、象牙質表層のスメア層・脱灰層・樹脂含浸層・樹脂含浸層内超微小漏洩層を中心に出来る限り試料にダメ-ジを与えないで生のままの接合界面を観察し、それらの所見を従来のアルゴンイオンビームエッチング法や反射電子組成像並びに透過型電子顕微鏡像と対比させ、接着強さ測定と破断部位の観察所見や含浸層内超微小漏洩と接着耐久性の関連を有機的に統合し、全世界が容認し得る歯質接着構造の統一理論を提示することを目的としている。平成7年度は、実験動物(成猿)の歯に充填された歯質接着性レジンを中心に観察を行った。その結果、象牙質の脱灰は、使用する歯面処理材によって異なり、EDTA3-2が最も少なく、次いでScotchprepとCA Agentが続き、37%リン酸ゲルのk-etchantが最も脱灰が大きかった。脱灰の深さは、同一の歯面処理材を使用しても、象牙質の深さによって異なり、窩洞の深部では浅く、浅部では深かった。特に、深部では象牙細管中のレジンタグは、アルゴンイオンエッチングで顕著に粗造となり、重合硬化が十分でないことが示唆された。また、象牙細管中の組織液と接着性レジンの混和物と想像される構造が象牙細管開口部付近に観察された。生活歯における脱灰の深さは、抜去歯におけるそれよりも被験歯の歯種や部位によるバラツキが少なかった。これは、生活歯象牙質が抜去歯と異なり象牙細管中に組織液を含み、組織液中のタンパクが緩衝作用を有しているためと考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 庄野 常一: "光硬化型グラスポリアルケノエ-トセメントの歯髄に及ぼす影響ならびに象牙質接合界面の超微構造に関する研究" 日本歯科保存学雑誌. 38. 514-548 (1995)
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[Publications] Y.Shimada,C.Harmirattisai,S.Inokoshi,M.F.Burrow,T.Takatsu: "In vivo adhesivemterface between resin and denfin" Operafive Denfistry. 20. 204-210 (1995)