1996 Fiscal Year Annual Research Report
ネコ・サルにみられる四足および二足歩行運動の高次制御機序
Project/Area Number |
06404087
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
森 茂美 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (80001907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中じま 克己 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (60270485)
宮下 英三 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (00182014)
松山 清治 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (40209664)
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Keywords | 歩行運動 / 高次制御機序 / 直立二足歩行運動 / 小脳 / ネコ / サル |
Research Abstract |
1.ネコの四足歩行運動の制御と高次脳機能 小脳の部分破壊そして刺激実験などから小脳は歩行運動中における左右前肢・後肢の着地相や遊脚相を制御し、歩行運動をスムーズに遂行させるための重要な中枢機構としての役割を果たしていることが明らかにされてきた。しかし小脳自体が間脳や脳幹の歩行制御部位を駆動し、歩行運動を発動できるかの疑問はこれまで解明されていなかった。私共はこの疑問に答えるため除脳ネコ歩行標本を用いて研究を進めてきた。そして小脳が歩行運動を発動できることを実験的に検証することができた。本研究から得られた研究成果は本年度中にとりまとめ国際専門誌に投稿することを計画している。私共が得た研究成果は運動の制御に際して必須な役割を果たす小脳機能について、新しい観点からの考え方を提出することにもつながる重要な発見である。 2.サルの直立二足歩行運動の制御と高次脳機能 これまでの研究から四足歩行運動の制御については、ネコ・サルで共通した制御神経機構の存在することが中枢神経系の中でも間脳や脳幹部位で明らかにされている。しかしこれら間脳や脳幹の歩行制御機構が大脳皮質を含むより高位の中枢からどのような高次制御をうけているかの疑問は解明されていなかった。本研究項目では日本サルを用いて、直立二足歩行運動を学習・修得させることができるかの疑問から研究に着手し、サルに流れベルト上での直立二足歩行運動を学習させることに成功した。直立二足歩行運動を学習したサルはヒトの二足歩行時に類似した足の運びをすることも観察している。現在、運動力学的観点からサル直立二足歩行運動の特徴を抽出し解析している。本研究は直立二足歩行の高次制御機序を解明するための実験モデルを確立したという点に重要な意義があり、ヒト直立二足歩行運動の制御機序やその病態像を理解する上での基礎的資料を提供することにつながると考えられる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 森茂美: "Quadrupedal locomotor movements in monkeys.(M.fuscata) on a treadmill : kinematic analyses." Neuroreport. 7. 2277-2286 (1996)
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[Publications] 松山清治: "Multi-segmental innervation of single pontine reticoclospinal arons in the cervico-thoracic region of the cat. An anterograde PHA-L tracing stdy" The Journal of Comparative Neurology. 377. 234-250 (1997)
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[Publications] 森茂美: "Basic neurophysiology of primate locomotion" Folia Primatologia. 66. 192-203 (1996)
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[Publications] 森茂美: "歩行運動の制御機構" 脳波と筋電図. 24. 343-351 (1996)
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[Publications] 森茂美: "運動の制御I,II,III" ブレイン サイエンス. 7. 187-194(I),317-324(II),415-423(III) (1996)
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[Publications] 森茂美: "Brainstem mechanisms of posturel fixation in relation to postural muscle tone" Recent Advances in Clinical Neurophysiology. 182-187 (1996)
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[Publications] 森茂美: "Motor Control VIII (Academic Publishing House)" G.N.Gantchev,V.S.Gurfunkel,D.Stuart,M.Wiesendonger,S.Mori,310 (1996)
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[Publications] 松山清治: "Motor Control VII (Motor Conrol Press)" D.Stuart, 366 (1996)