1996 Fiscal Year Annual Research Report
視物質の進化と膜性構造の分化:抗体作製と電顕免疫組織化学
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06405001
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
外崎 昭 山形大学, 医学部, 教授 (90004572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 慶二 山形大学, 医学部, 助手 (40250914)
佐々木 克典 山形大学, 医学部, 助教授 (30170666)
徳永 史生 大阪大学, 理学部, 教授 (80025452)
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Keywords | 網膜 / ヤツメウナギ / 視物質 / 単クローン抗体 / ロドプシン / アレスチン / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
今年度は、ヤツメウナギ網膜を抗原とする特異性の高い単クローン抗体の抗原性分析を、異種網膜との交叉反応性を中心に研究を進めた。その結果、2つの抗体、W39およびW312抗体についてほぼ抗原物質を同定することが出来た。 1)W39抗体は、これまでの探索からおよそ40kDの蛋白質であるロドプシンを認識すると考えられた。光顕免疫組織化学において、自家短光受容細胞外節とウシ、ハムスター、ウシガエルおよびウグイ杆状体細胞外節に強い陽性反応が認められた。さらにウシでは、錐状体細胞の一部の外節にも陽性反応が観察された。電顕疫組織化学では、短光受容細胞のほかに長光受容細胞外節にもやや少ない数の金粒子の沈着が認められた。また、western-blotでは、各動物網膜との反応から、ヤツメウナギのロドプシンを認識している抗体であると考えられた。この抗体は、広く異種動物ロドプシンの共通エピトープに対して結合性をもつものと結論された。暗→明条件への変化に伴う抗体の反応部位の変化を、FITC反応で観察したところ、変化が認められなかった。 2)W312抗体は、およそ48kDの蛋白質を認識する。光顕免疫組織化学において、自家短光受容細胞の外節、内節、細胞体および軸策に陽性反応が認められ、また、ウシ、ハムスターおよびウグイ杆状体細胞外節に強い陽性反応が認められた。特にハムスターでは、外節の近位1/3の領域に限局した陽性反応が観察され、電顕でも同様の反応が観察された。さらに、暗→明条件への変化に伴う抗体の反応部位の変化は、ヤツメウナギにおいて、暗順応下では短光受容細胞内節にFITCの蛍光領域が認められ、明条件下に移行するとともに外節に強い蛍光領域が変化した。またハムスターでは、暗→明条件への変化に伴い桿状体細胞の内節から外節へ蛍光領域が移り、さらにその後、外節近位部から遠位部への移動が認められた。この反応は、抗ウシ-アレスチン抗体との反応でも観察された。western-blotでは、ヤツメウナギ、ハムスターおよびウシ網膜でおよそ48-9kDの蛋白質との反応が認められ、抗ウシ-アレスチン抗体も同様の領域に陽性帯が観察された。この抗体は、トランスデューシンの活性を止める物質であるヤツメウナギのアレスチンを認識している抗体であると結論された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Katori Y.,Tonosaki A.,Takasaka T: "WGA lectin binding sites of the apical surface of Corti epithelium : Enhancement by back scattered electron imaging in guinea-pig inner ear." J.Electron Microsc. 45. 207-212 (1996)
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[Publications] Ishikawa M.,Johnson LV.,DeWing MD.,Koseki T.,Tonosaki A.,Sakuragi S: "pH-dependent changes in interphotoreceptor matrix domains surrounding cone photoreceptors." Ophthalmic Res. 28. 117-124 (1996)
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[Publications] Ito M.,Inanobe A.,Horio Y.,Isomoto Ito H.,Mori K.,Tonosaki A.,Tomoike H.,Kurachi Y: "Immunolocalization of an in wardly rectifying K^+ channel,Kab-2(Kir4.1),in the basolateral memburane of renal distal tubular epithelia." FEBS Letters. 388. 11-15 (1996)
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[Publications] Ishikawa M.,Tonosaki A.,Hisatomi O.,Tokunaga F.,Kokeki T.,Sakuragi S: "Lectin cytochemical analysis of glycoconjyugates in photoreceptor cell memburanes of Lampetra japonica." Vision Res. 36. 1513-1520 (1996)
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[Publications] Yamaguti K.,Takahashi S.,Takahashi Y.,Shoji T.,Yuki Y.,Sasaki K.,Tonosaki A: "Disteibution of intercellular adhesin molecule-1 on leukocytes and corneal ednodthelium after endtoxin stimulation in rats." Internat Ophthalmol. 119. 303-306 (1996)
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[Publications] Sasaki K.,Okouchi Y.,Rothkotter HJ.,Pabst R: "Ultrastructural localization of intercllular adhesion molecule(ICAM-1)on the cell surface of high endothelial venules in lymph nodes." Anat.Rec. 244. 105-111 (1996)
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[Publications] 外崎昭(分担執筆): "岩波生物学辞典,第4版" 岩波書店, (1996)