1995 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の発生初期および仔稚魚期における浸透圧調節機構と内分泌系
Project/Area Number |
06405004
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Research Institution | UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
平野 哲也 東京大学, 海洋研究所, 教授 (70013571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田川 正朋 東京大学, 海洋研究所, 助手 (20226947)
金子 豊二 東京大学, 海洋研究所, 助手 (70221190)
田中 克 京都大学, 農学部, 教授 (20155170)
会田 勝美 東京大学, 農学部, 教授 (50012034)
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Keywords | 広塩性魚類 / 仔稚魚 / 初期発生 / 浸透圧調節 / 内分泌系 / 成長ホルモン / プロラクチン / 塩類細胞 |
Research Abstract |
本研究の目的は、魚類の発生初期および仔稚魚期における浸透圧調節機構を、淡水、海水のどちらでも繁殖可能な広塩性魚類を用いて、生理学的、内分泌学的に明らかにしようとすることにある。本年度に得られた主な成果としては、 1.ティラピアにおいて、淡水適応ホルモンであるプロラクチン産生細胞の分化過程を、in situ hybridizationおよび免疫細胞学的に検討したところ、やはり淡水中で発生が進行した胚の脳下垂体で、海水中の胚よりも早く分化していた。 2.ティラピアの卵黄嚢上皮の塩類細胞は、胚の塩分代謝に重要な機能を持つと思われ、淡水中に比して、海水中で発生が進む際により早く分化し、かつ大型になる。また、成魚において海水適応に重要なホルモンのコルチソルは、塩類細胞の分化を促進する。 3.蛍光ビーズおよび^<14>Cで標識したデキストランを用い、仔稚魚の飲水量の定量した所、ティラピアではふ化後2日目より海水を飲みはじめ、発生が進につれ飲水量が増大した。淡水中では成魚同様ほとんど水を飲まない。 4.^3H_2Oを用いティラピアの水透過性を測定した所、ふ化を境にして透過性が増大し、かつ淡水中の胚および仔魚の透過性が、海水中のものの2倍ほど高い値を示した。さらに、^<36>Clを用い塩透過性を定量した所、淡水中の胚および仔魚に比べ、海水中における透過性が数十倍高く、かつ発生の進行にともない増大した。 5.ヒラメ、スズキ、マダイあるいはアイナメなどにおいて、フィールドにおける仔魚から稚魚への変態の過程、特に消化器官の分化に際し、甲状腺ホルモンおよび副腎ホルモンが重要な関与をすると思われる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kaneko,T.et al.: "Hypoosmoregulatory ability of eyed-stage embryos of chum salmon." Marine Biolgy. 122. 165-170 (1995)
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[Publications] Ayson,F.G.et al.: "Cortisol stimulates the size and number of mitochon-drion-rich cells in the yolk sac membrane" Experimental zoology. 272. 419-425 (1995)
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[Publications] Tanaka,M.et al.: "Development of pituitary,thyroid and interrenal glands and applications of endocrinology" Aquaculture. 135. 111-126 (1995)
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[Publications] Kinosita,I.et al.: "A morphological and merstic comparison of larval and juvenile temperate bass,from various sites" Japan.Journal of Ichthyology. 42. 165-171 (1995)
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[Publications] Makino,N.et al.: "Differentiation and evelopment of the swimbladder in larvae of the Japanese sea bass." Nippon Suisan Gakkaishi. 61. 143-150 (1995)
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[Publications] Uchida,K.et al.: "Changes in chloride cell activity in the gill filaments and lamellae during seawater adaptation" Journal Experimental Biology. (1996)
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[Publications] Clarke,W.C.: "physiological Ecology of pacific Salmon" University of British Columbia Press, 503 (1995)
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[Publications] Tanaka,M.: "Survival Strategies at Early Stages of Marine Resources" Balkema, 367 (1995)