1996 Fiscal Year Annual Research Report
存在論・言語論・行為論--その歴史的・体系的交錯の諸相
Project/Area Number |
06451002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松永 澄夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (30097282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下野 正俊 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (70262053)
高橋 克也 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (50251377)
一ノ瀬 正樹 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (20232407)
高山 守 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20121460)
天野 正幸 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (40107173)
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Keywords | 存在論 / 行為論 / 組織 / 制度 / 共同体 / 実在論 / ドイツ観念論 / 実存思想 |
Research Abstract |
当研究室では、これまで、いわゆる「言語論的展開」以後の今日の状況における存在論の存立可能性の吟味を行い、今日の状況における(言語)相対主義への傾斜と実在からの疎隔という危険を指摘し、そこからの離脱の諸方途を探索してきた。今回の研究では、そうした存在論と言語論の交錯の問題に、行為論という哲学の今一つの歴史的に枢要な柱を加え、同様の視点からの探究を進めることを企図し、所期の成果を挙げ得た。確かに、当該研究領域に関連する既存の成果として、言語論と行為論という観点からは「言語行為」論やコミュニケーション論など、存在論と行為論の交錯という観点からは<正義輪>をめぐる議論等を存在する。しかしながら、これらは一見したところ相互に無関係なまま展開されてきたものであり、こうした諸議論が分立する状況に対して、何らかの統一した観点から批判・評価を加え、深層の次元において統合するという本研究のような立場は、これまで他の類を見ないものであった。更にまた、こうした分裂状況を地理的に整理すると、英米系の分析哲学的伝統と大陸系の現象学・存在論の伝統とのあいだの断絶と考えることもできる。そして現在、両者の間の相互交流・相互批判が学界のみならず広く思想界一般において焦眉の急となっていることもまた、事実である。こうした課題に対し応えるには、それぞれの議論の歴史的背景を明らかにすることが求められるが、本研究はこの点に関しても、一定の見通しを与えることに成功したものと考える。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] 松永澄夫: "生命科学の方法とこれからの生命論-メタ・バイオテックス研究の立ち上がりに寄せて-" 東京大学文学部哲学研究室 論集. 15. 1-41 (1997)
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[Publications] 天野正幸: "『ポリ-ティコス』における分割法について" 平成6〜8年度科学研究費補助金基礎研究(B)(1)成果報告書. 11-24 (1997)
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[Publications] 一ノ瀬正樹: "連合と記述のはざまに" 平成6〜8年度科学研究費補助金基礎研究(B)(1)成果報告書. 34-48 (1997)
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[Publications] 一ノ瀬正樹: "ライプニッツ人格論素描" 東京大学文学部哲学研究室 論集. 15. 42-69 (1997)
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[Publications] 高橋克也: "運命というアポリア-人間形成における意思の自由" 東京大学文学部哲学研究室 論集. 15. 70-92 (1997)
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[Publications] 下野正俊: "『純粋理性批判』の歴史観" 東京大学文学部哲学研究室 論集. 15. 93-108 (1997)
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[Publications] 坂部 恵: "<あわい>の力動と創造の病い" 日本病路学雑誌. 48. 2-8 (1994)
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[Publications] 天野 正幸: "Plato's Conception of Episteme" Journal of the Faculty of Letters,The Univ.of Tokyo,Aesthetics. 19. (1995)
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[Publications] 高山 守: "シェリング-ポスト「私」の哲学-" 理想社, 242 (1996)
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[Publications] 西川富雄監修(高山守編): "シェリング読本" 法政大学出版局, 428 (1994)