1995 Fiscal Year Annual Research Report
祭りの音環境と民俗美意識-特に兵庫県美方郡浜坂町久谷を例として-
Project/Area Number |
06451013
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Research Institution | Osaka Univiersity of Arts |
Principal Investigator |
馬淵 卯三郎 大阪芸術大学, 芸術学部音楽学科, 教授 (30030406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 真 京都市立芸術大学音楽学部, 助教授 (40135637)
志村 哲 大阪芸術大学, 芸術学部音楽学科, 講師 (60226264)
西岡 陽子 大阪芸術大学, 芸術学部文芸学科, 助教授 (20133514)
月渓 恒子 大阪芸術大学, 芸術学部音楽学科, 教授 (80073261)
谷村 晃 大阪芸術大学, 芸術学部音楽教育学科, 教授 (90079608)
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Keywords | 祭りの空気 / 音環境 / 象徴音 / 時間形式 / 伝承の構造 |
Research Abstract |
本研究は「祭りの空気」とでもいうべき昴揚した気分を分析記述する方法としてサウンドスケープという概念を応用して、伝承民俗芸能の研究に新しい方法を開発しようとしたものである。集落全域にわたってかつ終日繰り広げられる祭礼の雰囲気は、視覚的にはある局面単位でしか感じる事ができないが、音景観の視点に立てば、祭りの雰囲気を時間経過の中でかつ総体的に把握する事ができる。久谷八幡の秋祭りを9時間に及んで1定点で通時録音を行った結果、時間持続において展開されるイヴェントにはそれを象徴する音響があり(ざんざか踊りの太鼓)、又祭りの雰囲気というものは、様々な音響による昴揚した気分的盛り上がりが単に一本調子に持続するのではなくて、時には静寂の時間をも内包する強弱のバランスDynamikに依って醸し出される事、かつ前述の象徴音響がこの持続に始まりと頂点と終止を感じさせる。即ち祭りの音環境には時間形式が成立していると言う事であった。しかしこのような祭りを維持する事はどの地域にでも可能なわけではない。久谷の場合、壮年層が少年たちに踊りを練習・伝承させることが十分機能し、そこで少年層が地域共同体に完全な意味で組み込まれる仕掛けになっている。音環境調査に現れた住民の祭りに関する音響への肯定的意識にも、踊りが住民を結束させる要因である事が窺える。比較のために兵庫県下の風流系太鼓踊り関係諸地域にアンケート及び実地調査を行ったが、民俗芸能が維持される理由には種々のケースがあるので、更に伝承の構造分析が今後の課題である。比較研究のために、久谷における日常時の定時定点録音以外にも多くの地域で録音録画実施した。又踊りのラバン採譜、歌の採譜を実施した他、歌詞も収集し、現在データベース作成のために入力中である。此れに依って比較検索作業が飛躍的に高レヴェルになるので、従来とは異なる次元での分布、系統論が展開出来る予定である。
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