1996 Fiscal Year Annual Research Report
日本における健康の社会的格差・不平等と形成要因に関する研究
Project/Area Number |
06451031
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Research Institution | UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
山崎 喜比古 東京大学, 医学部, 助教授 (10174666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 誠 東京大学, 医学部, 助手 (50272422)
早坂 裕子 東北福祉大学, 社会福祉学部, 助教授 (60285658)
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Keywords | 健康水準 / 受療行動 / 医療観 / 社会的格差 / 社会的不平等 / 死亡率の地域差 / 健康習慣 |
Research Abstract |
1.中高年男性における社会経済的属性による健康水準及び受療行動、医療観の差に関する研究東京都某区に居住する中高年男性を対象に調査を行い分析した。その結果、収入と健康水準との関連性が認められ、特に収入の低い層の健康状態が悪いことが明らかとなった。また、医療観は、学歴・職業間の格差があることが認められた。しかし、受療行動については、このような社会経済的属性との関連性は認められず、健康状態が直接に受療行動へと結びつけているものと考えられた。 2.第1年度(平成6年度)以来行ってきた調査・分析のとりまとめ (1)“Regional Characteristics and Factors of the Death Rate of the Middle Aged Men in Tokyo Metropolitan Area"---首都圏内1都4県下の約160市区の中壮年期男性の死亡率には著しい地域差があり、それは地域住民の社会経済的特性と地域相関を示すものであった。その構造は、今日も続いていることが明らかになった。 (2)第2次・第3次産業に従事する中壮年男性における健康習慣の職業差と関連要因---健康習慣の確立状況と主観的健康の水準は職業によって差があり特徴が認められたが、その特徴は、労働時間、労働環境、労働態様、職務ストレインといった職業的要因以外に、婚姻状態や行動タイプなどの個人的家庭的要因と関連性を示した。 (3)欧米における健康の社会的格差・不平等その形成要因---研究が豊富にあり、健康の社会的不平等があらゆる性・年齢層のさまざまな健康度において認められたものであることが明らかにされ、健康の社会的不平等が生まれるメカニズムやそのことの政策的意味や示唆が活発に議論されている。 3.報告書の作成と当面の課題 以上を報告書にまとめたが、いずれの研究成果も、国際学術誌や国内学会誌、『社会保障研究』誌などへの投稿を準備中である。
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