1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06451068
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深澤 克己 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (60199156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 質 九州大学, 文学部, 教授 (50069457)
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Keywords | 国際商業史 / 国際金融 / 為替手形 / 貨幣貿易 / 宗教的少数派 / ディアスポラ / プロンポグラフィ / 商人手引書 |
Research Abstract |
1.代表者(深沢)はマルセイユ商工会議所所蔵「ル-商会文書」の為替手形のデータ・ベース解析を一通り完了し、その成果を論文として公表した(『史淵』)。そこで得られた主要な知見は、18世紀末の地中海における貨幣貿易と綿花貿易との国際的相互連関、およびキオス=イズミル出身のギリシア商人のディアスポラ化=国際商業ネットワークの形成である。「離散のギリシア人」のプロソポグラフィは、19世紀のギリシア独立運動に直接の展望を開いた。代表者の転任に伴い、この作業の遂行のために備品を新たに整備する必要が生じたので、コンピュータ1台を購入した。また前任地(九州大学)に残した史料調査のためにノート・パソコン1台を購入し、東京-福岡を往復して研究を補完した。 2.代表者はさらに、フランス各地の港湾諸都市で収集した商人文書の研究をも継続し、研究文献の渉猟と合わせてフランス全域の貨幣流通を考究し、その最初の成果を論文として公表した(『MUSEUM KYUSHU』)。当面の主要な知見は、スペインからフランスへの貨幣流入のメカニズムと中継地点(サン=マロ、バイヨンヌ、ペルピニャンなど)、およびフランスから東方への流出のメカニズムと主要貿易拠点(マルセイユ、ロリアン)の確認であり、それを実行する商人=銀行業者の国際ネットワークの部分的考察である。 3.代表者の転任に伴い、また年度末の多忙な期間のため、協力者(中村・川勝)との連絡と協力は困難をきわめたが、各自はそれぞれの研究を着実に進めた。代表者は協力者との討論を踏まえて、これまで収集した商人手引書・商業辞典の概要を整理し、その成果を史料紹介の形式で論文にまとめ、公表した(『西洋史学論集』)。17-19世紀の商人手引書の発達過程と、その文化史的意義の発見が主な知見である。
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[Publications] 深澤克己: "18世紀のフランス=レヴァント貿易と国際金融(下)" 史淵(九州大学文学部). 133. 1-31 (1996)
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[Publications] 深澤克己: "18世紀のフランス国際商業と貨幣流通" MUSEUM KYUSHU-文明のクロスロード-. 51. (1996)
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[Publications] 深澤克己: "九州大学文学部所蔵史料について-17-19世紀フランス商業辞典・手引書-" 西洋史学論集(九州西洋史学会). 33. 77-79 (1995)
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[Publications] 中村質: "鎖国の確立と福岡藩" 西南地域史研究. 10. 1-22 (1995)
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[Publications] 中村質: "長崎奉行所文書調査の覚書" 長崎市博物館報. 36. 1-22 (1996)