Research Abstract |
本研究の目的は,近世領域国家の形成にともない,その中心都市がどのように創成されるのか,中世都市との関係はいかに,を解明するところいあり,対象はドイツを中心とするが,近世イギリス,さらに中国,近東のそれとも比較検討するところにあった。 本年の成果は,領域中心都市の形成を概略明かにした。ドイツの場合,有力な領邦国家として北部のプロイセン王国,ザクセン,ヘッセン各大公国,南部のバイエルン大公国,ファルツ選帝侯,ヴェルテンベルク伯,バ-デン辺境伯領があげられるが,それらの首都としては,ベルリン,ドレスデン,カッセル,ミュンヘン,マンハイム,シュトットガルト,カ-ルスルーエなどが形成された。そのうちいくつかは,中世に遡る小集落に起源をもつものもあるが,多くは新規に市域が人工的に設定され,その市街路は格子状を呈するのが特徴である。その典型がマンハイム,カ-ルスルーエである。 ベルリンは,1200年ごろ出現したシュプレー河両岸の小漁村ケルン,ベルリン2集落が起源であるが,ブランデンブルク辺境伯(アスカニア家)のもとで都市化が促進され,1307年両市区は併合され,ランゲンブリュッケによって結ばれた。15世紀半ば辺境伯となったツォレルン家はケルン区の北半分に宮殿を造営し,その西側に閲兵式用街路ウンター・デン・リンデン通りを設けた。この通りを中心として大ベルリン市が建設されたのは18世紀のことである。 なお、共同研究者はそれぞれのテーマに沿って研究を発展させた。
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