1994 Fiscal Year Annual Research Report
新潟県上山遺跡調査による東日本縄文晩期末の編年と生業に関する研究
Project/Area Number |
06451073
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
石川 日出志 明治大学, 文学部, 助教授 (40159702)
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Keywords | 稲作開始 / 土器組成 / 石器組成 / 縄文晩期末 / 鳥屋式土器 / 大洞A・A′式土器 / 地域間交流 |
Research Abstract |
10月下旬に科研費採用(追加)が決定したのをうけて,遺跡地の雪解けが確実な3月16日〜23日の日程で新潟県岩船郡山北町上山遺跡の発掘調査を実施することとし,急遽地主・山北町教育委員会・新潟県教育委員会等と発掘調査実施の具体的準備を開始。諸準備を整え、2月13日に発掘調査届を町教委経由で文化庁に提出した。 発掘に先立ち,新潟県埋蔵文化財調査事業団に保管されている上山遺跡1960・61・68年発掘調査資料の内容を点検した結果,本遺跡は縄文時代後期後半を主体とし,晩期遺異物は散漫な分布を示すが,調査今回予定地点の一角で調査目的の縄文晩期末〜弥生時代前期初めの遺物集中地点があることが確実視できた。これらの資料は来年度図化する予定である。 比較資料として,新潟県豊栄市鳥屋遺跡・田上町保明浦遺跡・栄町長畑遺跡及び山形県村山市宮の前遺跡最終採集品出土土器の観察と一部図化を行なった。その結果,鳥屋・保明浦遺跡では中部〜東北南部地方と関連の深い時文時である鳥屋2a・b式に,東北地方中部の大洞A式(新)が伴い,鳥屋遺跡・長畑遺跡では鳥屋2B式に大洞A′式土器が伴うと判断される。数年来鳥屋2b式は大洞A_2式と接点をもつことが確かめられているが,わずかの資料調査ながら,その下限が確実に東北中部の大洞A′式と併行する段階にまで下ることが再び確実視されるようになったことは収穫であった。上山遺跡では1968年の調査で大洞A′式と,これに後続する砂沢式土器が検出されており,今度の発掘調査で縄文時代-弥生時代の変換点をより明確にすることが可能になると期待される。
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Research Products
(1 results)