1994 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダーの杵組における中国近現代史再検討のための基礎的研究
Project/Area Number |
06451078
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
宮尾 正樹 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (00174128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤山 和子 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (60134863)
佐藤 保 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (00017146)
相原 茂 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (40115126)
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Keywords | 中国 / ジェンダー / 現代 / 文学 / 言語 |
Research Abstract |
本年度は研究初年度であり、データベース作成のシステム作りが大半を占めた。中国語の漢字を扱えるシステムが一応できたが、中国語処理の点で、満足のいくものとはならなかった。今後、学界のみならず、経済界等でも同種ソフトの需要が増すと思われ、それに対応して、よりよいソフトが現れるのを待ちたい。全文データベースに関しては、当初の計画を変更して、革命現代京劇の脚本について行うこととした。中国語のOCR(光学読み取り)ソフトの利用を考えていたが、性能等に関する情報不足で、未だソフトの選定に至っていない。データべ-スの完成、及びそれを利用した研究は来年度以降の課題である。 個別研究においては、文化大革命時期の文学に対するジェンダー論的研究の準備として、文革末期より問題作を続けて発表している女性作家、=容の文化大革命時期の処女作『万年青』を分析した。=容は文革後の作品においては、単に女性に対する差別の告発者としてではなく、女性自身が内にはらむ男性優位主義をも描いてみせるが、『万年青』においては、そのような性の意識は表面には現れず、他の文革時期の作品群と同工異曲の印象があるが、詳細にテクストを分析してみれば、鋭い言語意識は既に獲得されていることが見てとれる。また、これは=容に限ったことではないが、我々が女性的と考える特性がマイナスのイメージを付与され、それを克服することが、一人の女性が自らを改造していく道だとされていることは、予想を外れないとはいえ、確認できた。 形態的に(西欧語等における名詞の性や、日本語における女性言葉)が必ずしも明確ではない中国語で、言語のレベルでのジェンダー論を論ずることは容易ではないが、それだけに、今後、分担者が個別研究で展開してくれるであろう議論に期待したいと思う。
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