1996 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニケーションにおける基本単位としての節の構造と機能の分析
Project/Area Number |
06451081
|
Research Institution | The School of Letters, Nagoya University |
Principal Investigator |
中野 弘三 名古屋大学, 文学部, 教授 (20023616)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 政千代 名古屋大学, 文学部, 助教授 (80116524)
|
Keywords | 文の発話の意味 / 文の統語構造 / 発話行為 / 発話の力 / 命題 / 命題態度 / 補文 / 発話行為動詞 |
Research Abstract |
過去2年間英語の文(節)の発話の意味構造と統語構造の分析を行い、文(節)の意味機能を調査した結果、コミュニケーションの場で発話された文(節)の意味は、1)発話の力(文が遂行する発話行為の意味効果)、2)命題態度(命題に対する話者の心的態度)、3)命題的法性(命題態度を反映する命題の様相)、4)命題(文が表す出来事または状態)、の4つの部分からなるという結論を得た。4つの部分に分析される、この文(節)の発話の意味構造の分析に基づき、従属節の意味構造と統語構造の関係を英語のデータベースを用いて検討、調査した結果、従属節に関しては、英語の知覚動詞、使役動詞の補文のようにその意味内容が4)の命題であるものから、sayの補文のように主節と同じ内容、すなわち1)〜4)の4つの部分をすべて含むものまで、文の発話の意味構造分析が予測するすべての種類の意味内容を持つ従属節が存在することが明らかとなった。本年度は、過去2年間の文(節)の発話の意味構造分析で得られた知見、および集積した英語のデータベースに基づいて、継続中の従属節の意味特性と統語形質の対応関係の研究、さらに付加詞(adjunct)や離接詞(disjunct)の役割を果たす副詞節の研究を続行し、一応の結論を得、その研究成果を報告書にまとめた。一方、補文(従属節)を従える動詞が持つ意味構造と同じ意味構造を持つと考えられる法助動詞の意味分析を行い、発話の意味構造分析に基づく本研究の分析法によると、現代英語の法助動詞の用法ばかりでなく、法助動詞の用法の発達も同じ説明原理で説明できることを明らかにした。3年間の本研究の成果と言えることは、本研究の分析法に基づくと、従来無関係に論じられてきた英語の動詞の補文、副詞節の用法、法助動詞の用法が理論的、統一的に扱えることを実証したことである。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 中野弘三: "英語法助動詞の意味論(10)" 名古屋大学文学部研究論集. 121・文学41. 69-84 (1995)
-
[Publications] 中野弘三: "定形節の意味分析" 名古屋大学文学部研究論集. 124・文学42. 79-88 (1996)
-
[Publications] 中野弘三: "英語法助動詞の意味変化のメカニズム" 名古屋大学文学部研究論集. 127・文学43. 1-15 (1997)
-
[Publications] 天野政千代: "補文構造と繰り上げ" 英文法への誘い(開拓社). 78-89 (1995)
-
[Publications] 天野政千代: "英語の格に関する通時的・共時的研究(7)-純粋格標示領域仮説-" 名古屋大学文学部研究論集. 124・文学42. 89-112 (1996)