1994 Fiscal Year Annual Research Report
物質収支を考慮したエコシステム動学シミュレーション
Project/Area Number |
06451105
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
氷鉋 揚四郎 筑波大学, 農林工学系, 教授 (90189762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森島 隆晴 筑波大学, 社会工学系, 助手 (10241770)
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Keywords | 物質収支バランス / 動学的エコシステム / ピグ-式税金・補助金 / コースの定理 / 物質vs.価値循環 / 汚染 / 静脈産業 / 環境財 |
Research Abstract |
生産要素としての労働の価格である賃金が内生化され,したがって付加価値部門が内生化される市場均衡モデルに汚染等の外部不経済効果を組み込んだ一般均衡モデル([理論モデル1])を構築し,効用関数と生産関数をCobb-Douglas型に特定化して,パレート最適解を市場均衡解として実現するためのピグ-式税金・補助金システムを解析的に導出した。コースの定理に基づき,税金と補助金の様々な按分比率の組み合わせ,また課税,補助金対象の様々な組み合わせの何れもがパレート最適解を市場解として実現することを証明した。この特定化モデルのパイロット・モデルについて,コンピュータシミュレーションにより,様々な税金・補助金システムの所得再分配効果を解析した。 物質収支バランスを考慮した非線形動学的エコシステム・プログラミング・モデル([理論モデル2])を構築し,そのパイロットモデルについてコンピュータシミュレーション・アルゴリズムを開発し,解の特徴を解析した。これは,線形近似による開放アルゴリズムであり,解の収束に計算時間を要することが実用上の問題点であるが,かなり大規模なモデルについてもこのアルゴリズムを適用することができることが分かった。 今後は,(1)[理論モデル1]に基づき,環境付加価値税,環境基金の創設などの所得再分配効果,さらに最適所得再分配についてコンピュータシミュレーションを駆使して理論的,解析的考察を試みる。(2)収集した環境経済学,エコロジー,エコシステムおよびエコビジネスに関する文献,資料に基づき,廃棄物処理,廃棄物リサイクル等の静脈産業に関する技術を推定し,[理論モデル2]の実証モデル化を試みる等の予定である。
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[Publications] 氷鉋 揚四郎: "情報発展都市における混雑税の一般均衡分析" 現代経済社会における諸問題(東洋経済新報社). 1. 277-296 (1994)
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[Publications] 船橋 健: "発生または帰着ベースによる公共投資便益の測定とその比較-生産にマーシャルの外部性が存在する一般均衡モデルを用いて-" 地域学研究. 24. 1-16 (1995)
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[Publications] Kohno,H.: "Dynamic Appraisal of the Asian Expressway Network Benefits on China" Perspectives for the Future of Regional Science(Macmillan). (印刷中). 221-240