1995 Fiscal Year Annual Research Report
「条件不利地域」における農林業労働力の確保・調整システムのあり方に関する調査研究
Project/Area Number |
06451126
|
Research Institution | THE INSTITUTE FOR SCIENCE OF LABOUR |
Principal Investigator |
栗田 明良 財団法人労働科学研究所, 労働社会生活研究部, 主任研究員 (10072654)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 春子 財団法人労働科学研究所, 労働社会生活研究部, 研究員 (20221327)
品部 義博 財団法人労働科学研究所, 労働社会生活研究部, 研究部長 (40142070)
鷲谷 徹 財団法人労働科学研究所, 労働社会生活研究部, 主任研究員 (00124313)
|
Keywords | 中山間地域 / 労働力確保・調整システム / 新規参入・Uターン / 都市・中高年サラリーマン / 中小・零細企業 / 公社等の農林地管理 / ミスマッチ |
Research Abstract |
農林家出身の都市サラリーマン等の労働・生活条件の現状と将来の「Uターン」志向等を把握するため、東京都区内に本社を構える中小企業の男子中高年従業員300余名(平均年齢55歳強)を対象としたアンケート調査の結果をみると、その約59%が地方出身者で正社員数99人以下という小・零細な製造業あるいはサービス業に勤めている者が過半をしめ、勤続年数は平均15年余と比較的長いものの、約74%が転職経験で、転居経験者に至っては約78%に達し、現住居は「戸建ての持ち家」が約62%と多数派を形成しているが、勤務先までの通勤時間は片道平均46分を要し、近所づきあい等は「少ない方だ」という者が約35%を占める、いわば流動性の比較的強い労働者層といった特性を持っている。従って、平均60歳強という定年後の生活設計をめぐって、「定年延長や再雇用制度等の拡充」(約30%)よりも現在の労働諸条件の改善、とりわけ「賃金体系の見直し」を望む者(約45%)が多く、年金受給年齢到達後は「働かないと経済的に苦しいので」とか「働かなくともやって行けそうだが、働ける間は」働きたいとする者がそれぞれ約40%を占めているが、今勤めている会社での就労継続となると「できるだけ長く」は約30%、「できれば(65歳位)まで」という者も約38%に低下し、引退後の居住地に関して「現住所に定住したい」は50%を僅かに超えているに過ぎず、「田舎に引っ越したい」というUターン志向が7%丁度を占め、いわば“一つの流れ"となっているようである。 一方、その受け皿として期待されている中山間・過疎化地域の市町村や公社等の動きもこのところ活発になっているが、しかし、その多くは「45歳未満の若者」をターゲットにしたもので、都市・サラリーマン層に顕著なUターン志向との間には相当のミスマッチを感じさせる。
|
-
[Publications] 栗田明良: "中山間地域における医療・福祉問題の展開-「長寿社会対策大綱」以降の動向を中心に-" 労働科学. 71巻12号. 487-497 (1995)
-
[Publications] Akiyoshi Kurita: "SECURING AND SUPPORTING AGRICULTURAL WORKFORCE IN MOUNTAIN AND SEMI-MOUNTAINOUS AREAS" J. Science of Labour, (Part II). Vol. 72-1. 1-14 (1996)