教師の知恵に基づくベイズネットワークによる評価システム

1995 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 06451142
• Research Institution: The University of Tokyo
• Principal Investigator: 繁桝 算男 東京大学, 教養学部, 教授 (90091701)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 植野 真臣 千葉大学, 文学部, 助手 (50262316)
• Keywords: 階層モデル / ベイズ分析 / ギブスサンプラー / 潜在変数 / バグルール / 医療診断 / 項目応答理論

Research Abstract

1.ベイズネットワークモデルの解析に必要なベイズ統計理論、またその分析を可能とする数値的方法(ギブスサンプリング)の技法を完成させた。学習者の内的状態を知るためには、複雑なモデルが必要であるが、しかし、利用できるデータは、せいぜい、カテゴリカルデータである。このため、カテゴリカルデータの下に、潜在変数を所与とする測定モデル、その下に、潜在変数の発生モデル、さらにその下に、母数の事前分布を持つような階層モデルが必要である。また、このような複雑なモデルにおいて、安定した推定値を得ることは普通難しいが、ギブスサンプリングによって安定した事後分布を得ることができた。
2.ベイスネットワークモデルによる具体的な分析として、引き算のバグルールを診断し、学習者がどの段階にあるかの学習地図を明らかにするシステムを設計した。すなわち、各学習者が、どのようなルールで計算しているかについて、データに基づき、その確率を計算するシステムを設計した。また、その応用として、医療診断に使うためのベイズネットワークモデルに連続変数を組み込む方法を開発した。このシステムは、そのまま、教師のための診断システムとして、使うことが出来る。
3.テスト情報から、教師のために有用な情報を引き出す手段として、正答だけでなく、誤答選択肢をも考慮する項目応答モデルを構成し、それに基づく分析方法を開発した。この分析によって、同じ得点の被験者間の学力を識別できること、また、各項目の特徴を2値データの分析の場合よりも詳細な分析が可能になることが明らかになった。

Research Products

• [Publications] Kazuo SHIGEMASU & Akiko YOKOYAMA: "Flexible Bayesian approach for psychological modelling of decision making" Japanese psychological Research. 36. 20-28 (1994)
• [Publications] 繁桝算男、植野真臣: "Jリ-グサッカー得点の統計分析" 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 619-622 (1994)
• [Publications] 柴山直,繁桝算男: "一般項目反応モデルにおけるパラメータ推定" 行動計量学. 21. 57-65 (1994)
• [Publications] 繁桝算男、高瀬慎也: "ベイス的アプローチによる分割表の平滑化" 応用統計学. 23. 81-93 (1994)
• [Publications] 植野真臣、大西仁、繁桝算男: "確率ネットワークを組み込んだテスト理論の提案" 電子情報通信学会誌. J77-A. 1398-1408 (1994)
• [Publications] 吉村宰、植野真臣: "テキストメディアに伴う認知負荷の内容理解への影響" 日本教育工学雑誌. 17. 175-184 (1994)
• [Publications] 繁桝算男: "意思決定の認知統計学" 朝倉書店, 156 (1995)