1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06452034
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中原 弘道 東京都立大学, 理学部, 教授 (00027137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 勤 東北大学, 理学部, 助手 (50233193)
永目 諭一郎 日本原子力研究所, アイソトープ部, 副主任
末木 啓介 東京都立大学, 理学部, 助手 (90187609)
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Keywords | 原子核分裂 / 核の変形経路 / 核分裂の多重経路 |
Research Abstract |
本研究の目的は、トリウムやウランなどの低エネルギー原子核分裂において存在すると考えられる複数の変形経路をより直接的な方法で実験的に証明し、それらの経路に関する物理的な情報を得ることにある。核分裂方向への原子核の変形過程を逐次時間の関数で調べることは不可能である。しかし、核分裂断面積は核分裂障壁の高さと状態密度で決まり、分裂生成物の運動エネルギーは分断時での大きく変形した二つの分裂片の電荷中心間の距離によって決まるので、核分裂断面積と各分裂片の運動エネルギーとの相関を調べれば、原子核の複数の変形過程の始点と終点とに関する物理量を求めることができる。但し、このためには分裂片の運動エネルギーを高精度で測定しなければいけない。そのために、本実験では、飛行時間法を用いて二つの分裂片の速度を同時測定する方法を採用した。この方法では、分裂片からの中性子放出を補正することなしに、核分裂から直接に生成した分裂片の質量と運動エネルギーを求めることが出来る。本年度には、本研究専用の飛行時間測定用の散乱槽(真空槽)と測定回路(増幅器、コンスタントフラクション・ディスクリミネータ)を日本原子力研究所のタンデム加速器の実験コースに整備し、更に、時間測定に適した検出システム(チャンネルプレートと磁石の組合せ)を作成した。そして、^<232>Thをターゲットとして15.7MeV陽子誘起核分裂の実験を一回行うことが出来た。この実験では100万以上の同時事象を観測し、^<127>I重イオンによって時間測定装置のこう正を正確に行うことができた。データは現在解析中である。来年度には、陽子のエネルギーをいろいろ変えて同様の実験を行い、さらに^<238>Uについても実験を行う予定である。
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Research Products
(1 results)