1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06452044
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塚田 捷 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90011650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 了 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20282717)
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / 局所密度汎関数法 / リカ-ジョン・伝達行列法 / 原子制御 / 原子の引き抜き / 電界蒸発 / トンネル電流 / コンタクト |
Research Abstract |
走査トンネル顕微鏡によって探針と試料表面の間隙で興味深い現象が引き起こされるが、特に個々の原子や電子の素過程は最も注目されるものである。これを記述する理論的な方法論を構築し、これらの詳細を明らかにすることが本研究の目的である。そのため探針と表面間の距離がごく近いコンタクト領域や、探針・表面間の電界や電流が強い場合に有効なリカ-ジョン・伝達行列法を開発した。この方法は局所密度汎関数法を本質的に非平衡・開放系へと拡張するもので、無限系の散乱波解を数値的に自己無撞着に解くことを基礎とする。これによりSTMの定量的な解析、探針によって誘導される表面の局所的な化学反応、表面上、あるいは表面一探針間の原子の移動など、探針による原子制御の基礎的な問題に対する理論的なアプローチが可能となった。 リカ-ジョン・伝達行列法を用いて、二つ物質表面が接近し電子的な相互作用が引き起こされて“接触"が起こる様子を、様々の系について原子論的な立場から解明した。2つの金属表面が接近するとき電子的な相互作用は、あり距離から急激に始まる。このときトンネル電流は指数関数的に増大からの明瞭な飽和の傾向を示す。 仕事関数の小さな金属表面/金属探針系での原子の引き抜きは、次のメカニズムによる。探針に強い負バイアスをかけると、探針の頂点原子の外側に電子分布が張り出してきて、試料表面の電子分布と橋をかけた様な状態になる。すると表面原子はこの橋がけされた電子の雲によって、探針側に引っ張り出されるような力を受け引き抜かれる。このとき探針から受ける力は特定の原子に集中しており、確実に狙った原子を引き抜ける。一方、探針・表面間の距離が大きい場合には、正電位表面の近くの吸着原子は正にイオン化した状況になり、電界蒸発的な機構で表面原子が引き抜かれる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 土田英二,塚田 捷: "Adabtive Finite-Element Method for Electronic Structure Calculations" Physical Review B. 54. 7602-7605 (1996)
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[Publications] 小林伸彦,広瀬賢二,塚田捷: "Jheoretical Study of Current and Barrier Hight between Al tip and Si Surface in the Scanning Tunneling Microscope" Japanese Jaurnal of Applied Physics. 35・6B. 3710-3713 (1996)
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[Publications] 佐々木成朗,小林功佳,塚田捷: "Atomic-Scale Friction Image of Graphite in Atomic-Force Microscopy" Physical Review B. 54. 2138-2149 (1996)
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[Publications] 小林伸彦,広瀬賢二,塚田捷: "First-Principles Study of Na Atom Transfer Induced by the Tip of STM" Surface Science. 348. 299-304 (1996)
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[Publications] 佐々木成朗,小林功佳,塚田捷: "Theoretical Simulation of Atomic-Scale Friction in AFM" Surface Science. 357/358. 92-95 (1996)
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[Publications] 矢島章雄,塚田捷: "Theoretical Simulation of STM Image of C_<60> Molecules on Si(100)2×1 Surface" Surface Science. 357/358. 355-360 (1996)
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[Publications] 塚田 捷: "表面の電子励起(第1章)" 丸善出版, 244 (1996)