1994 Fiscal Year Annual Research Report
励起子を例とするボ-ズ粒子の平面閉じ込め効果に関する研究
Project/Area Number |
06452049
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
瀬川 勇三郎 理化学研究所, フロンティア研究システム・フォトダイナミクス研究センター, チームリーダー (30087473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯子 康 理化学研究所, フォトダイナミクス研究センター・光物性チーム, 基礎科学特別研究員 (70260213)
柳瀬 明久 理化学研究所, フォトダイナミクス研究センター・光物性チーム, 基礎科学特別研究員 (50231650)
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Keywords | 励起子 / 量子化 / 閉じ込め / CuCl / 光学スペクトル / エピタキシャル / 薄膜 |
Research Abstract |
共有性からイオン性結合に至る一連の物質群について、エピタキシャル成長による薄膜制作、界面形成に関する要求と、その空間閉じ込め効果による、電子状態の変化に対する興味は、ますます大きく成っている。本研究では、先ず超高真空下での分子線エピタキシ-法により、NaCl型構造のMgO(001)基板上に、閃亜鉛鉱型構造のCuCl,CuBrを成長させる事を試みた。薄膜の構造は、反射高速電子線回折(RHEED)のその場観察、及びX線回折、原子間力顕微鏡を用いて調べた。そして、良好な2次元成長が生じ、CuCl,CuBrがそれぞれ異なる界面原子配置を与える事を見いだした。 このようなCuCl薄膜の吸収スペクトルの膜厚依存性を液体He温度で測定した。その結果,300Aより薄い各種膜厚の試料で、量子閉じ込め効果を受けた励起子に特徴的な新たな吸収構造を見いだした。この構造の解析より、閉じ込めを受けた励起子の新たな光遷移選択則を得る事ができた。試料がさらに厚くなると、励起子ポラリトンの干渉効果が強まり、この選択則は乱される。また励起子の振動子強度は、膜厚に比例して増大し、閉じ込め量子数の二条に反比例して小さくなる事が示された。これらの実験結果は、励起子の空間量子閉じ込めに特有の効果である事が、大阪大学張紀久夫教授の行なった理論的解析を用いて示された。 さらに、得られたCuCl薄膜の磁気円偏光2色性の測定を行なった。最大6Tまで使用出来る超伝導マグネットを用い、試料は10Kで測定した。得られた磁気円偏光2色スペクトルと吸収スペクトルの微分スペクトルとの比較より、励起子の各量子化状態のg値が求められた。得られた価は、CuClのバルク結晶で以前求められた価と一致している。CuCl微結晶では、g値の増加が報告されており、閉じ込め形態の差異による可能性を検討している。
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[Publications] A.Yanase: "Two different in-plane orientations in CuCl." Surface Science. (印刷中).
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[Publications] Z.K.Tang: "Quantization of exciton in ultrathin CuCl epitaxial films." Journal of Luminesence. 58. 138-141 (1994)
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[Publications] Z.K.Tang: "Nonradiative damping of quantized exciton in ultrathin CuCl films." Journal of Luminescence. 60 and 61. 316-319 (1994)
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[Publications] Z.K.Tang: "Quantization of excitons in CuCl epitaxial thin films." Physical Review B. (印刷中).