1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06452052
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
兵頭 俊夫 東京大学, 教養学部, 教授 (90012484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 晴雄 東京大学, 教養学部, 助手 (60235059)
長嶋 泰之 東京大学, 教養学部, 助手 (60198322)
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Keywords | 陽電子消滅 / ポジトロニウム / 超微粒子 / シリカ・エアロゲル / 常磁性中心 / スピン交換反応 |
Research Abstract |
本年度は,時間分解運動量測定装置の製作と,微粒子表面の常磁性中心の研究を行った。 時間分解運動量測定装置はほぼ完成し調整段階にある。 表面常磁性中心に関して得られた成果について以下に説明する。 アモルファス・シリカを放射線照射すると種々の常磁性中心が生成することが知られている。それらの研究は通常ESRを用いて行われている。ただし,微粒子を試料とした場合,バルク部分だけではなく表面にも欠陥が生成していると思われるが,ESRの実験では必ずしも表面からの信号を他から明確に区別して取り出すことはできない。 本研究で用いた方法は,シリカのポジトロニウム仕事関数が負であること,およびオルソ・ポジトロニウムが常磁性中心とスピン交換反応をしてパラ・ポジトロニウムに転換することを利用する新しい方法である。負の仕事関数のために,ポジトロニウムは微粒子間の自由空間にのみ存在し,微粒子バルクに侵入することができないので,表面常磁性中心を選択的に観測できる。今回は,シリカ・エアロゲル(アモルファス・シリカの超微粒子が3次元的ネットワーク構造をした集合体)を試料として,陽電子消滅2光子角相関,陽電子寿命スペクトル,ドップラー広がり法などによる測定を行った。 その結果,低温で十分陽電子照射すると表面に常磁性中心が生じることを見いだした。また,この常磁性中心の焼鈍特性を観測し,それが150Kで不安定になること見いだした。このことから,これはおそらくNBOHC(非架橋酸素正孔中心)であると思われる。
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Research Products
(1 results)