1994 Fiscal Year Annual Research Report
微小重力下で成長させた半導体結晶の結晶性と局所不純物偏析の評価
Project/Area Number |
06452106
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西永 頌 東京大学, 工学部, 教授 (10023128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 雅明 東京大学, 工学部, 助教授 (30192636)
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Keywords | 微小重力 / 中国回収型衛星 / GaSb / ブリッジマン成長 / マランゴニ対流 / フォトルミネッセンス / 不純物縞 / 転位密度 |
Research Abstract |
微小重力下で半導体の融液成長を行う場合、二つの大きな利点がある。第一は無容器成長でありこのため成長結晶に導入される転位は非常に大きく減少する。第二は熱対流の停止でありこのため非定常な熱対流に起因する不純物の不均一を取り除くことができる。本研究では、この二つの効果を見る目的で、比較的融点が低く宇宙のように電力が充分でない場合の成長にも適したGaSbをとりあげその融液成長を行い評価を行った。成長実験は中国科学院物理研究所と中国の回収型衛星を用いて共同で行ったもので、本研究ではこの成長結晶に関し評価を行った。 先ず成長結晶をたてに二つに切断し、一方はその表面を研磨エッチングした。他方はさらに横方向に約1.5mm間隔で切断し同じく研磨後エッチングを行い転位分布を測定した。その結果次の二点が判明した。(1)地上で成長した部分には不純物の不均一分布を示す不純物縞が見られたが宇宙で成長した部分には不純物縞が消失している。(2)転位密度は宇宙で成長が開始された直後には多少増加するが、その後は減少しやがて無転位となる。この二つの結果はいずれも宇宙における特徴を明瞭に示しており、宇宙の微小重力場が半導体の高品質化に極めて重要であることを示している。 本年度はさらに空間分解フォトルミネッセンス法により宇宙で成長させたGaSb中のTeの濃度分布も測定した。それによるとTe濃度は種側で5×10^<18>cm^<-3>添加されているが、宇宙で成長した部分に移ると1.5×10^<18>cm^<-3>程度に一度下がる。しかし、その後次第に増加し5×10^<18>cm^<-3>を越す値をとる。このようにTeは高濃度に添加されているにもかかわらず不純物縞は形成されていないことから、非定常マランゴニ流も抑制されたものと結論できる。
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