1995 Fiscal Year Annual Research Report
ハロゲン吸着ガスを用いた半導体表面の原子レベルエッチングとデポジション
Project/Area Number |
06452121
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
吉村 雅満 豊田工業大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40220743)
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Keywords | STM / シリコン / ハロゲンガス / 表面反応 / 表面反応 / エッチング / デポジション |
Research Abstract |
昨年度までにAlCl_3分子はSi(111)-7x7表面において解離吸着し、塩素原子がシリコンダングリングボンドと結合していることを見出した。本年度はこの表面においてSTM探針と試料間にパルス電圧を印加することにより吸着Cl原子の単原子選択エッチングを行なった。Cl原子が吸着したアドアトムではダングリングボンドが終端されるため、STM像は暗く観察される。ここに適当なパルス電圧を印加すると吸着Cl原子が脱離し、アドアトムサイトは再び明るく観察される。いくつかのパルス電圧条件に対してこの脱離確率を調べると、(試料:正)の場合の方が(試料:負)の場合より確率が高く、トンネルコンダクタンスが大きいほどその確立が高いこともわかった。さらにしきい値電圧の大きさもトンネルコンダクタンスに依存し、100nA/Vの場合〜4V、10nA/Vの場合〜5Vと判明した。 脱離のメカニズムを検討するため、Tsongらによって提案されたSTM配置における電界蒸発モデルをこの系に適用し、その結果を実験と比較した。計算では、塩素はどの価数の正イオンとしてよりも一価の負イオンとして蒸発する確率が大きくなったが、これは上記の実験結果とは逆である。従って、試料バイアスが正の方が脱離が起こりやすいという実験結果を説明するには他の要因を考える必要がある。例えば、このバイアス関係ではトンネル電子が探針から試料に注入されるが、電子がシリコン-塩素原子のアンティボンディング軌道に注入されることによりこれらの原子間の結合が弱まり、脱離しやすいといった仮説も考えられよう。結論を得るには温度依存性などのより詳細な実験的、及び理論的検討が必要であり、次年度の課題としたい。
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[Publications] 滝口隆晴: "STMによるSi(111)へのAlCl3分子の吸着プロセスの観察と反応表面での原子・分子操作" 表面科学. 16. 141-146 (1995)
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[Publications] T. Takiguchi: "Manipulation of atoms and molecules on AlCl_3-adsorbed Si(111) surfaces" Proc. of 22nd Int'l. Conf. on the Physics of Semiconductors. 521-524 (1995)
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[Publications] M. Yoshimura: "Initial stage of the nitridation of the Si(111) surface observed by STM" J. Vac. Sci. Technol.B14(in press). (1996)