1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06452164
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 正名 東北大学, 工学部, 教授 (60005262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
とう 鋼 東北大学, 工学部, 助手 (90237040)
柴田 勝久 東北大学, 工学部, 助手 (20196421)
井上 克己 東北大学, 工学部, 助教授 (90005554)
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Keywords | 浸炭歯車 / 曲げ疲労強度 / 表面性状 / 亀裂発生 / 異常層 / 表面研削 / 粒界破壊 |
Research Abstract |
浸炭歯車の高い負荷能力は表面硬化層および圧縮残留応力の存在に起因する.その一方で,表面には異常層が形成されることが知られており,これが強度低下の原因になっている.本研究では浸炭歯車の異常層の性質,曲げ疲労亀裂の発生と異常層の関連,異常層の除去の効果などを明らかにするために実験を行ない,以下の結果を得た. 1.SCM415浸炭歯車の硬さと残留応力を測定し,平均厚さ約10μmの表面に硬さが約200Hv低下する異常層を確認した.EPMAによる元素分析の結果,表面から数μmの異常層内に20%を越えるCr,Mnなどが粒状に析出していることを確かめた.酸素濃度も高いことから,これらはCrとMnの酸化物と考えられる.また,それより深い異常層内の粒界にはSiの偏析が顕著であることも知られた. 2.スペックル干渉歪計,AE,特注の亀裂検出ゲージを併用して亀裂発生を検出した.検出ゲージを用いる方法が最も優れていたが,異常層厚さ程度の短い亀裂の検出は困難であった.疲労試験を途中で停止して試料を作製し,SEM観察を行なった結果,上記CrとMnの酸化物粒界とSiが偏析する粒界を通るような亀裂が異常層内に多く発生し,その中の1本が異常層から歯の内側へ伝播していることを確かめた. 3.CBN研削を施すと,表面下約25μmの範囲に高い圧縮残留応力を生じること,曲げ強度が約15%向上することなどが知られた.しかし,化学研磨歯車の場合と異なり,表面硬さや残留応力から疲労強度を推定すると誤差を生ずることもわかった.この結果は,化学研磨とCBN研削が表面の除去加工という点では同じであっても強度向上に対して異なる影響を有する可能性を示唆するものであり,研究を継続して明らかにしたいと考えている.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 柳 晟基: "浸炭歯車の曲げ疲労強度に及ぼす表面処理の影響" 日本機械学会論文集(C編). 60. 1391-1396 (1994)
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[Publications] 増山知也: "浸炭歯車の疲労き裂進展に伴うアコースティックエミッション" 日本機械学会論文集(C編). 60. 2456-2461 (1994)
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[Publications] 井上克己: "ショットピーニング浸炭歯車の残留応力の推定および応力拡大保枚に対する影響" 日本機械学会論文集(C編). 60. 3504-3509 (1994)