1995 Fiscal Year Annual Research Report
間欠的渦発生ジェット列の位相制御による壁乱流の混合促進に関する研究
Project/Area Number |
06452177
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Research Institution | Science University of Tokyo |
Principal Investigator |
本阿弥 眞治 東京理科大学, 工学部, 教授 (30089312)
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Keywords | 乱流剥離 / 乱流境界層 / 能動制御 / 渦発生ジェット / パルスジェット / 位相制御 / 縦渦 / 壁面せん断応力 |
Research Abstract |
渦発生ジェットは、壁面に対し45°傾けた孔から壁面ジェットを吹き出し、壁乱流の混合を促進させるものである。本研究では、隣合うジェットを間欠的に吹き出す際、同位相と逆位相に設定した位相能動制御を行い、壁乱流中に埋没した一対のジェットにおける各位相毎の多重渦構造ならびに隣接するジェットの干渉機構を実験的に明らかにすることを目的とする。実験には、長さ2000mm、測定部断面80mm×720mmの風洞を使用し、十分発達した乱流境界層に一対の間欠ジェットを吹き出す。壁面に対し45°のピッチ角、境界層の流れ方向に対し90°のヨ-角を持つ一対のジェットをパルス間隔10Hz、吹き出し時間比を50%、そして同位相と逆位相で吹き出し、さらに、一対の吹き出し孔の配置により、一対の縦渦が分離ならびに合体する形態(背向配置ならびに正対配置)を実験条件として選定した。計測には、流れの可視化法として、ミストトレーサ法を用いた。更に、熱線流速計により、ジェット内の速度の時間平均、位相ならびに変動成分を測定し、特に、壁近傍の分布を詳細に求めた。さらに、周波数応答に優れ検知部が非常に微細な熱トレーサ微小センサを用いて、壁面せん断応力を計測した。その結果、パルスジェットにおいて吹き出し終了直後に主流の掃引効果が存在し、連続ジェットに見られない特徴を持つことが判明した。更に、縦渦同士が分離する背向配置と同位相吹き出しの条件下では、掃引効果が大規模化し、ジェットの周囲に位相平均分布より20から30%も局所的に高い速度を有する高速領域が存在し、ジェットの後端部では、特にその傾向が顕著に現れることを実験的に確認した。このような高速領域の存在が剥離の抑制に有効であることを新たに見いだした。そして、それ以外の縦渦が合体する配置と逆位相の組み合わせでは、複数のパルスジェットはお互いに干渉しないことが判明した。以上により、縦渦の配置とパルス吹き出しの位相を適切に組み合わせることにより、剥離現象の制御の可能性を見い出し、その流動機構を明らかにしたことが本研究の成果である。
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[Publications] 鈴木孝之・長田光彦・志沢高朗・本阿弥眞治: "壁面パルスジェット内に生成された縦渦の流動機構 第1報 単孔パルスジェットの吹き出し条件" 日本機械学会論文集B編. 62(予定). (1996)
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[Publications] 鈴木孝之・長田光彦・志沢高朗・本阿弥眞治: "壁面パルスジェット内に生成された縦渦の流動機構 第2報 複孔パルスジェットの干渉" 日本機械学会論文集B編. 62(予定). (1996)