1994 Fiscal Year Annual Research Report
遷臨界域流体の急速過渡伝熱特性を利用した伝熱制御に関する研究
Project/Area Number |
06452179
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
相原 利雄 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (90006172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小原 拓 東北大学, 流体科学研究所, 助手 (40211833)
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Keywords | 遷臨界域流体 / 伝熱制御 / 過渡伝熱 / 実験 / 分子動力学 / 二酸化炭素 |
Research Abstract |
臨界点近傍の流体が示す特異な伝熱特性を利用して、熱伝達の能動的な制御法を確立する研究の第一年度として、二酸化炭素中の加熱水平白金細線を対象に、以下の研究を行った。 1.現象の可視化系の整備を行い、亜臨界圧及び超臨界圧の臨界点極近傍における定常沸騰・自由対流の様相を、熱伝達特性と対応させて詳細に観察した。その結果、亜臨界圧から超臨界圧への流体圧力の変化に伴って沸騰から自由対流へ流動の様相が連続的に変化することを明らかにし、従来異常対流と呼ばれてきた超臨界圧での沸騰もどき現象に、この連続的な流動様相の変化の中での新たな位置づけを与えることができた。また熱伝達特性についても、亜臨界圧から超臨界圧への連続的な変化を見い出した。 2.伝熱特性の計測系を整備し、細線に印加される熱流束の時間変化率を制御因子としたランプ状加熱による急速非定常実験を行い、その熱伝達特性を明らかにした。超臨界圧流体の擬臨界点近傍におけるエンタルピの大きな変化に起因して、加熱時の共試細線の温度上昇が擬臨界温度で一旦停滞することが明らかとなった。流体圧力の制御や混合媒体の利用などにより作動流体の擬臨界温度や高比熱特性が設定できることを考慮すれば、超臨界圧流体により発熱体温度を制御できる可能性を示すものと考えられる。 3.超臨界圧流体の特異な伝熱特性を解析するため、詳細な数値計算を開始した。来年度には計算結果の解析を開始し、成果を得る見込みである。 4.相消失など臨界点近傍及び超臨界圧流体の特異な性質を本質的に解明するため、二酸化炭素及び水を対象とした分子動力学数値解析を行い、温度・密度の変化による流体分子のクラスタ形成や微視的構造の変化を解析した。
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[Publications] Taku OHARA: "Molecular Dynamics Study on Hydrogen Bond and Cluster Formation in Water" Proc.4th ASME/JSM E Thermal Engineering Joint Conference. (印刷中). (1995)
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[Publications] Toshio AIHARA: "Free-Convection Heat-Transfer from a Step-and Pulse-Heated Wire in Supercritical Fluid" Proc.4th ASME/JSME Thermal Engineering Joint Conference. (印刷中). (1995)
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[Publications] 小原 拓: "水の水素結合に関する分子動力学的研究(第1報、結合数及び寿命の温度・密度依存性)" 日本機械学会論文集B編. 61-582. 592-598 (1995)
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[Publications] 小原 拓: "水の水素結合に関する分子動力学的研究(第2報、水素結合ネットワークの解析)" 日本機械学会論文集B編. 61-583(印刷中). (1995)
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[Publications] 小原 拓: "水の水素結合に関する分子動力学的研究" 日本機械学会平成6年度熱工学講演会講演論文集. 940-55. 69-71 (1994)
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[Publications] 高塚 保: "CO_2の相変化に関する分子動力学的研究" 日本機械学会平成6年度熱工学講演会講演論文集. 940-55. 72-74 (1994)
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[Publications] 丹波 純: "臨界点極近傍の沸騰・自由対流現象" 日本機械学会平成6年度熱工学講演会講演論文集. 940-55. 192-194 (1994)
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[Publications] Taku OHARA: "Molecular Dynamics Study on Hydrogen Bond and Cluster Formation in Water" Proc.Workshop on Molecular Heat Transfer and Its Control. 53-60 (1994)
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[Publications] Hiroshi SAITO: "Molecular Dynamics Study on Flexible Water" Proc.Workshop on Molecular Heat Transfer and Its Control. 81-86 (1994)
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[Publications] Tamotsu TAKATSUKA: "Molecular Dynamics Study on Phase Diagram of Carbon Dioxide" Proc.Workshop on Molecular Heat Transfer and Its Control. 87-93 (1994)
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[Publications] Taku OHARA: "Molecular Dynamics Study on Phase Change and Cluster Formation in Fluids" 分子熱流体シンポジウム講演論文集. (印刷中). (1995)
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[Publications] 丹波 純: "臨界点近傍の二酸化炭素の非定常熱伝達" 第32回日本伝熱シンポジウム講演論文集. (発表予定). (1995)