1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06452181
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 康徳 筑波大学, 構造工学系, 教授 (10132995)
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Keywords | メニスカス / 蒸発しない薄膜 / 蒸発伝熱 / 溝形ヒートパイプ |
Research Abstract |
既存の実験装置のうち密閉容器については基盤の加熱ヒ-タを改良し、また容器の傾き角度を60度まで変化できるように改良した。その上でHe-Neガスレーザーを光源とする薄膜測定法の原理に沿って「蒸発しない液膜」の厚さを測定した。固体壁と液自由界面のうち、分子間力が支配的な領域でのメニスカス端面(いわゆるマイクロ領域)の液膜厚さは20〜50ナノメータの大きさであった。これまで定量的な測定結果が乏しい領域での成果である。作動液体はエタノールである。容器内に不凝縮ガスを含む場合(2成分2相状態)と含まない場合(1成分2相状態)について基盤の傾き角度と基盤裏面からの熱入力をパラメータとして測定データを整理した。不凝縮ガスの有無によって液膜厚さに大きな違いは見られなかったが、角度依存性(重量の影響)については2成分状態の液膜厚さが1成分に比べて顕著な影響を受ける結果が得られた。この傾向は現時点ではまだ良い説明が見つからない。この領域を含むメニスカス部のホログラム写真取得については何回かの予備実験を重ねている段階にある。実験装置の移動部分の根本的な作り替えは7年度に行う予定である。 一方、これの理論解析はこれまでの筆者らのモデルを改良して、溝型ヒートパイプの熱輸送性能のシミュレーション解析を試みている。計算場の濃度、温度、渦度、などのパラメータがマイクロ領域とその他の液体バルク部でスムーズにつながることとメニスカス形状が計算の過程で求められるモデルになっているため、計算場の収束がまだ完全でない。しかし、基本的に溝の開口部と重力方向の関係を考慮した蒸発部の伝熱性能予測に目処がついたと考えている。実験結果との直接比較は次年度に行う。
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