1995 Fiscal Year Annual Research Report
動脈内皮細胞の物質透過性に関するマイクロバイオメカニクス的研究
Project/Area Number |
06452187
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
谷下 一夫 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10101776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 弘祐 北里大学, 医学部, 専任講師 (70153632)
山田 寛幸 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90182550)
池田 満里子 慶應義塾大学, 文学部生物学, 教授 (00051368)
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Keywords | 動脈内流れ / マイクロバイオメカニクス / 酸素輸送 / 内皮細胞 / 共焦点顕微鏡 / 動脈硬化 / 物質透過性 / アルブミン |
Research Abstract |
動脈硬化をはじめとする血管病変は、太い動脈において特定な部位に生ずるため、血液流との関連が指摘され、とくに血液と直接接触する動脈内皮細胞の物質透過性が壁面せん断力によって影響を受ける事実が最近知られてきた。そこで本研究では、内皮細胞及び血管壁内の物質輸送機能が、血流によってどのような影響を受けるかを調べるため、培養内皮細胞における酸素および高分子物質の透過の様子を微小酸素電極および共焦点レーザー顕微鏡によって調べ、細胞レベルに関するマイクロバイオメカニクス的性質及び血管病変に関する病態生理的性質を明らかにする事を目的とする。培養内皮細胞に流れによるせん断応力を負荷する装置を製作ひ、流露内を培養液で満たしかん流させて内皮細胞にせん断応力を負荷した。そこで、流れの負荷に高分子物質アルブミンの取り込みを、TRITCの色素をラベルして、色素量を共焦点顕微鏡で観測し、取り込み量を評価した。その結果、取り込み量はせん断応力の大きさによって変化し、低せん断では,流れによってアルブミン取り込み量が増加しているが、高せん断応力になると、逆に取り込み量が下がるという事実が得られた。このような結果は、これまで例がなく、世界的な論争になっている動脈硬化病変の低せん断説を裏付けるものであり、極めて重要な知見である。さらに生体組織にあける酸素濃度を微小電極で測定し、微細血管内外の酸素濃度分布の様子から生体組織における酸素輸送の新しい形態が観測できた。以上、極めて独創的な知見が得られ、バイオメカニクスや臨床生理学の分野に大きな貢献をしたと思われる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 谷下一夫: "粒子固有の運動特性が旋回流中を運動する粒子群の構造に与える影響" 日本機械学会第72期通常総会講演論文集. 250-251 (1995)
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[Publications] 谷下一夫: "微小電極による臨床輸送の測定" 第34回日本エム・イ-学会大会論文集. 33. 307 (1995)
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[Publications] 谷下一夫: "共焦点レーザー顕微鏡による内皮細胞への物質とへこみの観測" 第34回日本エム・イ-学会大会論文集. 33. 537 (1995)
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[Publications] 谷下一夫: "せん断流による非球形細胞の運動の制御" 第34回日本エム・イ-学会大会論文集. 33. 542 (1995)
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[Publications] 谷下一夫: "Behavior of individual endothelial cell under shear stress" Proc. Bioengineering Conference BED. 29. 515-516 (1995)
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[Publications] 谷下一夫: "微小電極による生体組織内酸素輸送の測定" 日本機械学会第4回バイオエンジニアリングシンポジウム論文集. 65-66 (1995)
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[Publications] 谷下一夫: "Data book on Mechanical Properties of Living cells, Tissues, and organs" Springer, 429 (1996)