1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06452192
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中尾 政之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (90242007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 洋一郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60111473)
畑村 洋太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40010863)
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Keywords | 分子動力学 / ナノラボラトリ- / 微小接触 / 微小摺動 / 微小塑性流動 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
最終年度の平成7年度では,精密実験装置で得た実験結果と理論計算で得た計算結果とを比較して、両者の整合性を検討し、最後にナノラボラトリ-の設計基本コンセプトの妥当性を確認する。 比較するための微小現象として、(1)直径0.1μm以下の微小な真実接触点を有する金メッキした板状の金属試料の上を、同じ材質の針状の試料が摺動した場合の塑性変形、(2)Ni-Tiの表面に直径0.1μmの押し込み穴を作成した後、熱を加えると再び平滑になる双晶変形、(3)純銅を0.05μm以下の鋭利な刃先をもつ単結晶ダイヤモンドで、0.1μm以下の微小な切込で切削する場合の塑性流動、(4)5原子分の隙間を有する板上の白金試料が摺動した場合の摩擦力、などを試みた。(1)〜(3)は実際に精密実験装置を用いて実験を行い、(3)〜(4)は分子動力学の理論の構築および計算を行った。 これらの実験と計算を行った結果、両者には現象の大きさにおいて、なお大きな隔たりがあることがわかった。実験を通して次のことがわかった:標準試料の金の結晶粒界によって1nmの分解能を確認した電界放射系の電子顕微鏡を用いたにもかかわらず、高さ50nm程度、直径100nm程度のくぼみが観察できないこと、SEMで観察できないのであるからAFMでもくぼみの位置を再度探し出すことが困難であること、力センサは熱ドリフトを考えると分解能が1μNと大きいこと。また、理論を通して次のことがわかった:12MIPS×30程度の高速並列コンピュータを用いたが、1日かかっても計算できる原子数は高々1000個であること、計算では固体表面に付着している原子や内部の欠陥や転位を理想的にゼロにしているが、実はそれらが摺動摩擦や塑性流動に大きな影響を及ぼすこと。 実験方法を改良して理論できる現象の大きさに歩み寄るためには、複数の一次反射電子線検出器を設けて空間微分像によって微細凹凸を観察すること、精密実験装置にAFMも並列に配して、押し込むとAFM測定とを同じ位置で行えるようにすること、などさらに精密実験装置の改良が必要である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hirokuni HACHIUMA: "Various Dynamic Micro Tribological Phenomena under SEM Observation Meusured by a High-rigid Multi-axis Force Sensor" Proc.of ASPE 9th Annual Meeting. 186-189 (1994)
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[Publications] 沢尾貴志: "分子動力学による固体表面近傍の熱流動現象の解析" 第8回計算力学講演論文集. 367-368 (1995)
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[Publications] 清水淳: "分子動力学と実世界の橋渡しに関する研究第一報ダイヤモンド触針によるPloushing" 第37期通常総会講演論文集. (印刷中). (1996)