1994 Fiscal Year Annual Research Report
光励起プロセスを用いた強誘電体超格子薄膜の作製と機能素子への応用
Project/Area Number |
06452217
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塩崎 忠 京都大学, 工学部, 助教授 (80026153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 勝 京都大学, 工学部, 助手 (30154305)
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Keywords | 強誘電体超格子 / 薄膜 / 光励起MOCVD法 / PZT / ペロブスカイト / 二酸化窒素 / オゾン / 絶縁破壊電圧 |
Research Abstract |
当該年度においては、Pb系強誘電体超格子の実現を目指し、その前段階として光励起MOCVD法によるPb(Zr,Ti)O_3(PZT)薄膜の成長条件の確立と光励起が結晶学的及び電気的特性に及ぼす影響を調べた。 PZT薄膜の光励起MOCVD成長を行うにあたり、酸化ガスの種類や光励起の有無がPZT膜の成長に及ぼす効果について詳しく調べた。酸化ガスとして従来のO_2のみならず光吸収波長領域の広いNO_2やO_3を用いた。NO_2を酸化ガスとして用いた場合、光励起MOCVD法によりPt/SiO_2/Si基板上にペロブスカイト正方晶系PZT及び菱面体晶系PZT薄膜が各々535℃及び540℃で成長した。これらの温度はO_2を酸化ガスとして用いた場合に比べ、各々15℃及び80℃低く、酸化ガスの選択により低温成長化が図れることがわかった。薄膜成長中の光励起は成長温度の低温化には寄与しないが、成長速度の増大や電気的特性の変化をもたらした。とりわけ誘電率やリ-ク電流に光励起は影響を与えるが、これは光励起プロセスにより、気相中あるいは基板表面での膜形成機構に変化が生じるため薄膜の組成が変化するからであると思われる。これらのことは光エネルギーにより薄膜組成の細かい高精度の制御ひいては電気特性の制御が可能であることを意味し、機能性のある超薄膜積層構造を実現させるうえで重要な技術となるものと思われる。 酸化ガスとしてO_3をO_2に添加したところ、得られたPZT膜のリ-ク電流の減少や絶縁破壊電圧の改善がみられると同時に光励起によりさらにそれらの改善が観察された。表面モフォロジーや膜断面の観察よりこれらの改善は、光励起によるミクロな表面状態や膜構造の改善、膜中の欠陥密度の減少等によるものと考えられ、やはり光励起プロセスの有効性を確認した。
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[Publications] Masaru Shimizu: "Photoenhanced MOCVD of PbZrx Ti_<1-X>O_3 Thin Films" Appl.Surf.Sci.79/80. 293-298 (1994)
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[Publications] Masaru Shimizu: "Coutrol of Pb(Zv,Ti)O_3 Thin Film chaructevistics Using Metal-Organic Chemical Vapor Degosition" J.Korean Phys.Suc.27. S49-S53 (1994)
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[Publications] Tadashi Shiosaki: "Large Area Growth of Pb(Zr,Ti)O_3 Thin Films by MOCVD" Intergated Ferroelectrics. 5. 39-45 (1994)
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[Publications] Masaru Shimizu: "Effects of the Utilizution of a Butter Lager on the Growth of Pb(Zr,Ti)O_3 Thin Films by Metalorganic Chemical Vapor Degusition" J.Cryst.Growth. 145. 226-231 (1994)
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[Publications] Masaru Shimizu: "Effects of O_3 on Growth and Electrical Properties of Pb(Zr,Ti)O_3 Thin Films by Photoenhanced Metalorganic Chemical Vagor Pegusition" Jpn.J.Appl.Phys.33. 5135-5138 (1994)
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[Publications] Masaru Shimizu: "MOCVD of Ferroelectric Pb(Zr,Ti)O_3 and (Pb,La)(Zv,Ti)O_3 Thin Films for Memory Device Applications" to be published in Mat.Res.Soc.Proc.(1995)