Research Abstract |
最近,ス-パコンピュータとして,従来のベクトル計算形の計算機の他に,並列計算機が普及し始めている.トラヒックシミュレーションは,元々並列処理に向いているので,並列計算機を使用すれば,高速にシミュレーションを行うことができると予想される.一方,今後の公衆通信ネットワークでは,ATM(非同期転送モード)が使われる予定であり,ATMネットワークの設計に当たっては,呼レベルの他に,より厳密なセルレベルでの観察も必要になってきている.本年度は,並列計算機においてATMのセルレベルトラヒックシミュレーションを行う際,最も重要な点である負荷の配分法について検討を行った. 並列計算機の各プロセッサエレメント(PE)ATMネットワークの交換機に見立ててトラヒックシミュレーションを行うことは,比較的簡単である.しかし,それには,次のような問題がある.まず第一に,一つのPEに一つの交換機しか割り当てないと,ネットワーク規模が増大するに従って必要なPEの数も増大し,ある程度の規模までしか扱うことができない.第二に,各交換機の負荷にばらつきがある場合,最も処理量の大きいPEに他のPEの処理が待たされる.このため,例えば,PEを16個用いても,1個の場合と比べて,シミュレーション速度は数倍にしかならない. 以上の問題点を解決するため,ネットワークを分割して各PEにマッピングする手法をいろいろと試みた.通信ネットワークの場合,分割は,必ずしも地理的に近いところを一つにまとめる必要はない.交流トラヒックを考慮し,地理的に離れていてもトラヒックが多いところは一つのPEにまとめる方がよい.このような分割マッピングを行うことにより,かなりの速度向上が得ることができた.
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