1994 Fiscal Year Annual Research Report
飽和粘性土の水-土連成場での破壊機構の解明と変形・支持力解析への応用
Project/Area Number |
06452267
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浅岡 顕 名古屋大学, 工学部, 教授 (50093175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 利弘 名古屋大学, 工学部, 助手 (80262872)
中野 正樹 名古屋大学, 工学部, 助手 (00252263)
小高 猛司 名古屋大学, 工学部, 助手 (00252271)
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Keywords | 飽和粘土 / 3軸圧縮試験 / 非線形問題 / 破壊 / 有限要素法 / 分岐 / 有限変形理論 / 間隙水のマイグレーション |
Research Abstract |
本研究の主な目的は、飽和粘土力学における3つの独立原理((1)有効応力の原理、(2)ダルシー則、(3)塑性体積変化を塑性履歴パラメータにとること。)を連立して用いるオーソドックスな2相系の立場から材料と幾何的の両方の非線形性を考慮した有限変形解析を行い、飽和粘土特に正規圧密粘土の破壊・不安定性等を実験事実を添えつつ調べることであった。精緻な実験観察結果から、(1)境界非排水の3軸試験における供試体のせん断過程を初期に供試体が有する幾何的対称性(上下・回転)の喪失過程として捉らえ直してみると、時々刻々の供試体の鉛直ならびに水平断面形状の変化は、軸ひずみ(載荷)速度つまり供試体内の間隙水の移動の違いにより、少なくとも2つの対称性喪失過程(破壊・変形の仕方の違い)があることを明らかにした。(2)(1)の実験の有限変形解析を上下・回転対称性を強制的に保持させたねじりなし軸対称条件を考慮した4分の1の供試体断面で行うと、供試体の見かけの荷重〜変位関係には違いが得られないが、平面ひずみ条件ではあるが供試体全断面を用いた解析を行うと載荷速度に応じた実験と類似の、2種類の相異なる供試体の変形の様子(分岐モード、荷重〜変位関係)が得られることに成功した。(3)(1)、(2)を総合し、従来の粘土3軸供試体の変形・「強度」の載荷速度(軸ひずみ速度)依存特性は、クリープのような「粘塑性構成式」立場をとらなくとも粘性概念を取去ったグルシー則だけを用いた立場から説明でき、「粘塑性」的な立場だけではかえって破壊の仕方が違うといった挙動が説明できなくなることを示唆した。このように供試体であってもエレメントとして捉らえるものではなく、常に境界条件が整備された水-土連成の初期値・境界値問題として捉らえる立場は、堀削安定問題等における進行性破壊の変形・破壊の議論にも応用でき、これまでの粘塑性構成式の導入のみに頼る立場と一線を画する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 浅岡 顕 他1名: "Imperfection-Sensitive Bifurcation Behaviour of Cam-Clay under Plane Strain Compression with Undrained Boundaries" Soils and Foundations. Vol.35 No.1. (1995)
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[Publications] 浅岡 顕 他3名: "Imperfection Sensitivity on the Post-Peak Behaviour of Cam-Clay" Int.Conf.on Computational Methods in Structural and Geotechnical Engineering. 824-829 (1994)
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[Publications] 浅岡 顕 他2名: "Anneal-like Behaviour of Saturated Clay.An experment and simulation" Soils and Foundations. (1995)
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[Publications] 浅岡 顕 他2名: "水〜土連成場での粘土供試体の破壊挙動" 応用力学連合講演会. 201-202 (1995)
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[Publications] 浅岡 顕 他1名: "平面ひずみ非排水-軸圧縮場におけるカムクレイの水〜土連成挙動" 地盤の破壊とひずみの局所化に関するシンポジウム,土質工学会. 197-204 (1994)
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[Publications] 浅岡 顕 他2名: "Soil-Water coupled Behaviour of Saturated Clay near/at Critical State" Vol.34 No.1. 91-105 (1994)