建築内部空間に於ける昼光環境の動的変動に関する研究

1995 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 06452294
• Research Institution: Kyushu University
• Principal Investigator: 中村 洋 九州大学, 工学部, 教授 (10024209)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 大門 昌昭 積水ハウス株式会社, 技術本部, 研究員 ; 古賀 靖子 九州大学, 工学部, 助手 (60225399)
• Keywords: 昼光環境 / 昼光照明 / 併用照明 / ベクトル照度 / スカラー照度 / 円筒面照度 / ベクトル / スカラー比 / モデリング

Research Abstract

本年度は、実際の事務所建築の執務空間で収集したデータ,及び、九州大学工学部建築学科の屋上で行った模型実験の取得データを検討、分析した。片側採光の居住空間での昼光環境に関して得た知見は以下である。
1.実際の事務所建築の執務空間における実測調査について
(1)同一日の同一位置の水平面照度とベクトル照度、スカラー照度、円筒面照度など空間照度の終日の変動の様相は、側窓の方位、人工照明の有無に関わらず、ほぼ類似している。
(2)人工照明併用時は、昼光照明のみの時に比べ、空間照度の終日の変動幅が小さい。
(3)一般的に、人工照明併用時は、光の拡散性が増加する。従って、ベクトル/スカラー比は小さくなる。
2.実際の昼光下における模型実験について
(1)室内面反射率の構成に関わらず、水平面照度と空間照度の終日の変動の様相は、ほぼ類似している。但し、水平面照度に対するベクトル照度、スカラー照度、円筒面照度のそれぞれの比は、室内反射率の構成の影響を受ける。即ち、室内反射率が低い時は光の方向性が強く、室内反射率が高い時は光の拡散性が強くなる。
(2)室内反射率が低い時、水平面照度は垂直方向の高さの影響を大きく受ける。反射率が高い時、影響は小さい。
(3)室内反射率の構成に関わらず、ベクトル/スカラー比は開口部に近いほど高い。
(4)室内反射率の構成は、ベクトル/スカラー比やベクトル照度の高度に大きく影響する。従って、室内反射率の構成は、昼光環境のモデリングの重要な要因である。一般的に、反射率を高くするのが望ましい。しかし、天井、壁、床の全ての反射率が高いと、モデリングを害することがある。

Research Products

• [Publications] 中村 洋: "居住空間における昼光環境の動的変動に関する研究その4 オフィス空間における、空間照度及び、ベクトル/スカラー比の変動" 日本建築学会研究報告 中国・九州支部. 第10号・2. 17-20 (1996)
• [Publications] Hiroshi Nakamura: "A Study on Dynamics of Daylit Environmenn if Living Spaces" Proceedings of the 23rd Session of the CIE. Vol. 1. 244-245 (1995)
• [Publications] 中村 洋: "居住空間における昼光環境の動的変動に関する研究その5 オフィス空間における水平面照度と空間照度" 平成7年度照明学会全国大会講演論文集. 124-125 (1995)
• [Publications] 中村 洋: "オフィス空間を想定した模型室における昼光環境の動的変動に関する研究その1 実験の概要" 平成7年度照明学会全国大会講演論文集. 126-127 (1995)
• [Publications] 中村 洋: "オフィス空間を想定した模型室における昼光環境の動的変動に関する研究その2 実験結果の予備的検討" 平成7年度照明学会全国大会講演論文集. 128-129 (1995)