Research Abstract |
本研究は,自分で外出行動ができる健常な高齢者から,貧弱でひきこもりがちではあるが介助・支援によって外出が可能な高齢者までを対象とし,こうした高齢者が余暇,生涯学習,リハビリ活動を行う「通所型高齢者施設」の機能的再編成の可能性を,地域社会でのネットワーク計画から個々の施設平面計画の在り方までを視座に入れながら,総合的に検討しようとするものである.具体的な目標として,(1)高齢者の施設利用行動と利用圏構造に関する調査・分析(2)高齢者施設のコミュニティー施設又は医療福祉施設との連携・複合化の可能性に関する調査・分析(3)通所型高齢者施設における生活・学習・リハビリ活動の実態に関する調査・分析 の3つの研究項目に分けて実施している. このうち本年度は,通所型高齢者施設の利用者実態調査を行った. 対象地域として,大都市圏・3自治体(台東区,世田谷区,多摩市),地方圏・2自治体(北九州市・小倉北区,富山県・宇奈月町)を選定し,この合計5自治体について,当該自治体内の全ての通所型高齢者施設の利用者実態を一日断面調査方法で収録した.この結果から,高齢者デイセンター施設については,その利用内容,利用者の利用距離などについて主成分分析,クラス分析を試みると,主要な施設類型を,a)近隣入浴型,b)複合施設型,c)町内会館型,d)中央会館型,e)保養施設型の5つに類型化できることがわかった.このそれぞれの類型毎に施設利用圏の大きさとその段階性,及び,サービス内容,利用内容メニューの差異性を論じた.一方,デイケアセンター施設については,提供するデイケアサービスのメニュー内容を利用者の送迎方法,及びサービス頻度等によってその利用圏域の大きさ等が著しく異なることを示し,高齢者のADL能力と提供すべきデイケアサービスの内容に対応した適正な施設ネットワークの在り方について考察した.
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